こんにちは、おっちーです^^
今回も必ずやせて-10歳の健康美を手に入れるための「ダイエットの基礎知識」を学んでいきます。
前回は「セットポイント理論」について学びました。
こんにちは、おっちーです^^今回も必ずやせて-10歳の健康美を手に入れるための「ダイエットの基礎知識」を学んでいきます。 前回は「肥満体質の原因」について学びました。[sitecard subtit[…]
これにより、カラダは肥満から守ってくれている仕組み「セットポイント理論」があることがわかりました。
そして、このセットポイントを支えるメカニズムがレプチンという「やせホルモン」の存在が重要であることもわかりました。
しかし、前回の記事の後半はちょっと嫌な話になってしまいましたね。
それは、レプチン抵抗性によってセットポイントが狂い、いくら頑張ってもなかなかやせられないというものでした。
今回のお話は、セットポイントを狂わす原因について深堀りします。
問題を解決するためには、まずは原因を知らなければなりません。
では、結論です。
セットポイントが狂ってしまう原因は、
”レプチン抵抗性によるものであり、欧米食がレプチン抵抗性を起こす”
です。
それでは詳しくみていきましょう!
セットポイントが狂う=レプチン抵抗性
まずは、前回のお話をおさらいしましょう。
こんにちは、おっちーです^^今回も必ずやせて-10歳の健康美を手に入れるための「ダイエットの基礎知識」を学んでいきます。 前回は「肥満体質の原因」について学びました。[sitecard subtit[…]
セットポイントは、レプチンというホルモンがそのメカニズムを支えています。
レプチンは脂肪細胞に脂肪がたまると分泌され、脳の視床下部にある摂食中枢(旧満腹中枢)に働きかけて食欲を抑制します。
また、交感神経を活性化し全身の活動レベルを上げてエネルギーを消費するように促します。
- 脂肪細胞に脂肪がたまる(太る):レプチンが分泌されて、食欲抑制(摂取エネルギー減)、交感神経活性化(消費エネルギー増)とやせる方向へ調節される。
- 脂肪細胞に脂肪がたまらない(やせる):レプチンは分泌されず、食欲抑制されない(摂取エネルギー増)、交感神経活性化されない(消費エネルギー減)と太る方向へ調節される。
レプチンによる体重を一定に保とうとする働きが、セットポイントを支えるメカニズムとなっています。
しかし、このレプチン。
カラダに負担のかかる食事、炎症やストレスなどによってダメージを与えすぎてしまうと限界を超え、その機能がほぼ失われます。
再び登場してもらいましょう。
「燃えたよ・・・真っ白に・・・燃え尽きた・・・真っ白な灰に・・・」
レ、レプチーーーーン!!!(泣)
そして、食欲のブレーキが効かず基礎代謝も下がり、ひたすら太り続ける。
この状態をレプチン抵抗性というのでした。
せっかく、セットポイントという自動で痩せる仕組みが備わっているにも関わらず、そのメカニズムが狂う(レプチンが効かなくなる)ことにより肥満になり続ける。
まるで、ブレーキの効かなくなった暴走列車のようにひたすら太り続けます。
”レプチン抵抗性が起こり続ける限り、セットポイントは狂ったまま。”
こうなると、やせるのは困難になります。
レプチン抵抗性の原因を追え!!
では、レプチン抵抗性の原因はどこにあるのでしょうか?
レプチン抵抗性の要因になっているのが、高脂肪食による
- 血液から脳へモノを運ぶ仕組み(血液脳関門)に異常が生じ、脳の視床下部にレプチンが運ばれないこと
- 脳の視床下部の神経細胞に異常が生じ、レプチンのシグナルが細胞内で伝達できないこと
- 脂肪細胞から分泌される「TNF-α(炎症サイトカイン)」の分泌が高まり、レプチンシグナルを阻害していること
と言われています。
しかし、2017年の研究で
”PTPRJという酵素がレプチンの働きを抑制していること”
がわかりました。
これは、日本の基礎生物化学研究所の新谷教授、東覚大学院生および野田教授らによる研究で発見されたものです。
参考:肥満をつかさどる脳内メカニズムを発見(基礎生物化学研究所)
詳細はコチラ↑↑↑
どっぷり知りたいのならコチラ↓↓↓英語ですけど・・・
参考:PTPRJはレプチンシグナルを抑制し、視床下部におけるPTPRJの誘導はレプチン抵抗性発生の原因であること(2017年9月)
PTPRJ?
まったく聞き慣れない言葉ですね♪
実は、僕も初めて知りました!!
これから頑張って説明しようと思います。
※ちょっと専門的な話に入るのでムズいです。キツイ場合は「欧米食がPTPRJを過剰にしセットポイントを狂わせる」まで飛んでください。
レプチン抵抗性の原因であるPTPRJとは
まず、PTPRJの説明に入る前に、レプチンが食欲を抑制する流れを説明します。
【レプチンが食欲を抑制する流れ】
- 脂肪細胞に脂肪がたまると、脂肪細胞からレプチンが分泌され、血流にのって脳に運ばれる
- 血液から脳へモノを運ぶ仕組み(血液脳関門)を通り、脳の視床下部にレプチンが運ばれる
- 脳の視床下部の摂食中枢にあるレプチン受容体にレプチンがくっつく
- すると、JACK2という「酵素(プロテインキナーゼ)」によって、レプチン受容体の食欲抑制スイッチがONになる
この「JACK2(プロテインキナーゼ)」という酵素が、レプチン受容体(タンパク質)にリン酸をくっつけることで、食欲抑制スイッチがONになります。
タンパク質にリン酸がくっつくことを「リン酸化」と呼びます。
逆に、タンパク質にくっついたリン酸が切り離されることを「脱リン酸化」と呼びます。
キナーゼという酵素により、タンパク質にリン酸がくっつく化学反応。
※キナーゼにはプロテインキナーゼ、脂質キナーゼなどの種類がある。
タンパク質にリン酸がくっつくことで、スイッチがONとなりタンパク質の機能が作動する。
ホスファターゼという酵素により、タンパク質にくっついたリン酸が切り離される化学反応。
※ホスファターゼにはプロテインホスファターゼ、ヌクレオチターゼなどの種類がある。
タンパク質にくっついたリン酸が切り離されることで、スイッチがOFFとなりタンパク質の機能が停止する。
食べ物を消化したり、エネルギーを生み出す時に必要な物質。
人のカラダは精密な化学工場であり、さまざまな物質に化学反応を引き起こすのが酵素。※語尾に「〜ゼ」とつくものはほとんど酵素です。
ここまでよろしいでしょうか?
つまり、レプチンがレプチン受容体にくっつくことでJACK2という酵素によってレプチン受容体がリン酸化され、食欲抑制スイッチがONになるということです。
※難しいですよね。ここがわからないと次の話もわからないので頑張って🙏
そして、このJACK2が食欲抑制スイッチを入れるのを邪魔するのがPTPRJなのです。
PTPRJとは、「Protein Tyrosine Phosphatase Receptor type J」の略です。
- Protein:タンパク質
- Tyrosine:チロシンは、バリン、ロイシン、イソロイシンなど20種類のアミノ酸の一つ
- Phosphatase:ホスファターゼ、脱リン酸化を行う酵素
- Receptor:受容体
- type J:PTPRJはPTP(protein tyrosine phosphatase:プロテインチロシンホスファターゼ)という酵素の種類の一つであり、type Jに区分されている。
日本語に訳せば、受容体型プロテインチロシンホスファターゼです。
※ややこしくて嫌になりますね(^_^;)
つまり、PTPRJとはホスファターゼという酵素のことです。
プロテインであるチロシンのホスファターゼという意味になります。
そして、ホスファターゼは脱リン酸化を行う酵素です。
脱リン酸化とは、タンパク質からリン酸を切り離すことで、その機能のスイッチをOFFにするという意味でしたね。
JACK2という酵素が、リン酸化を行って食欲抑制スイッチをONにする。
反対にPTPRJという酵素が、脱リン酸化を行って食欲抑制スイッチをOFFにする。
そうです。
PTPRJが、レプチン→JACK2によってONされた食欲抑制スイッチをOFFにしてくれちゃっているのです。
- レプチン→レプチン受容体→JACK2→食欲抑制スイッチON
- レプチン→レプチン受容体→JACK2→食欲抑制スイッチON→PTPRJ→食欲抑制スイッチOFF
みたいな。
参考:インスリンとレプチンの働きを抑制している脱リン酸化酵素 – PTPRJの役割とは
わざわざスイッチ入れたのに・・・
ひたすらスイッチをOFFしまくる(笑)
レプチン抵抗性はPTPRJに原因があります。
ただフォローしておくと、このPTPRJがなければ過剰に食欲抑制が働いてしまうので何も食べなくなり衰弱してしまいます。
PTPRJも悪気があってこんなことしてるのではありません。
問題なのは、過剰にPTPRJが発現すること!
こんな子が溢れていたらスイッチOFFしまくられて大変なことになりますよね。。。
ちょっとした災害です。
欧米食がPTPRJを過剰にしセットポイントを狂わせる
では、このPTPRJ(酵素)はなぜ過剰に発現してしまうのでしょうか?
その問題を起こしているのが欧米食です。
欧米食とは、西洋型食生活のこと。
欧米食とは、赤肉、加工肉、バター、高脂肪の乳製品、卵、精製穀物、砂糖、ファストフード、ソフトドリンクといった近代型の食事のことです。
これら欧米食は「高脂肪・高糖質」であるのが特徴です。
で、この高脂肪・高糖質がPTPRJ(酵素)の発現を過剰にすることがわかっています。
PTPRJはレプチン抵抗性の発現に寄与している
レプチン抵抗性は,肥満とともに HF/HSD の摂食によって誘導される。
※「HF」が高脂肪食、「HSD」が高ショ糖食。
そこで、HF/HSD 飼育マウスと ND 飼育マウスの MBH (中期部視床下部)における PTPRJ の発現量を評価した。
※「ND」が普通食。
HF/HSDを8週間与えたところ、MBHのPtp1b mRNAレベルは有意に増加した(図A)。
これはPtprj mRNAについても同様である(図A)。
一貫して、HF/HSD飼育マウスにおけるPTPRJタンパク質の発現レベルも同様の増加(~1.5倍)を示した(図B)。
引用:PTPRJはレプチンシグナルを抑制し、視床下部におけるPTPRJの誘導はレプチン抵抗性発生の原因であること(2017年9月)
このように、高脂肪食・高糖質の欧米食がPTPRJを過剰に発現させてしまうということです。
まとめ
以上、セットポイントを狂わす原因について学んできました。
セットポイントが狂ってしまう原因は、
”レプチン抵抗性によるものであり、欧米食がレプチン抵抗性を起こす”
ことがわかりました。
セットポイントが狂うと、いくら頑張ってもなかなかやせることができません。
今回のお話でセットポイントが狂う原因をご理解いただけたかと思います。
その鍵となるのが過剰なPTPRJの発現で、高脂肪食・高糖質の欧米食が関係ていることがわかりました。
次回は、PTPJの発現を過剰にさせる欧米食について理解を深めたいと思います。
そして、セットポイントの乱れを正す食生活とはどのようなものかをお話したいと思います。
セットポイントを正常にすれば、きっとやせることが簡単になるでしょう。
今回はここまでです。
ちょっと難しいお話となってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
それではまた♪