なぜ脂質は太るの?脂質が太る仕組みを教えて!
こんにちは、おっちーです(^^)
前回の記事では、糖質は太る?太らない?について解説しました。
糖質は太るの?太らないの?どっち!? こんにちは、おっちーです(^^) ”糖質は太る” 糖質制限ダイエットが流行ったことで、これは一般常識になったといってもいいで[…]
で、この記事の結論は「糖質は太らない」でした。
そして、太るのは糖質ではなく、脂質である可能性が高いとも述べました。
では、なぜ脂質は太るのでしょうか?
脂質はどうやって太るのでしょうか?
ということで、今回のテーマは脂質が太る仕組みについて解説していきます。
この脂質が太る仕組みを論文16本のなかからをピックアップし、できるだけわかりやすく要約しています。
これにより、より正確で確実な情報をあなたにお届けすることができるでしょう。
この記事では、
- 脂質の基本的なお話
- 脂質が太る仕組み
について詳しく解説しています。
これを読めば、あなたは脂質の基本的なお話と、脂質が太る仕組みについて理解できるようになるでしょう。
脂質とは?まずは脂質の基本をおさえよう!
結論からまいります。
なぜ脂質は太るの?
”エネルギーとして優先的に利用されるのは糖質で、脂質はなかなか利用されないから”
です。
なぜなら、脂質は糖質が得られないときに利用され、それまで脂肪として蓄積されているからです。
詳しく解説する前に、まずは脂質の基本をおさえましょう!
脂質とは?脂質の役割と種類について
脂質とは、三大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)の一つです。
主に、バター、サラダ油、脂身の多いお肉、ソーセージやベーコンなどの加工食品、オリーブオイル、脂がのっている魚、アボカドなどの食品に多く含まれています。
脂質の役割
脂質の主な役割として、
- エネルギー源:脂質はエネルギーを供給する。糖質やたんぱく質が「1g=4kcal」に対し、脂質は「1g=9kcal」と高エネルギー。少ない重量で高いエネルギーを含むため、貯蔵に適している。
- 細胞の膜を作る:脂質は細胞の膜を形成する。細胞の健康と機能に不可欠な栄養素。特にリン脂質やコレステロールは細胞膜の構造や柔軟性に重要な影響を与える。
- ホルモンを作る:脂質はさまざまなホルモンの合成に必要。例えば、ステロイドホルモンは脂質から作られる。女性ホルモンのエストロゲン、男性ホルモンのテストステロン、ストレスホルモンのコルチゾールなどがあげられる。
- 脂溶性ビタミンの吸収:脂質はビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンの吸収を助ける。これらのビタミンは抗酸化作用、免疫機能の正常化、骨の健康の維持、血圧の低下、動脈硬化の予防といった働きがある。
といったものがあります。
つまり、脂質はなくてはならない栄養素なのです。
脂質の種類
そして、脂質の種類は下記となります。
お腹につく脂肪が単純脂質の中性脂肪。
この中性脂肪がたくさん蓄積された状態が肥満です。
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そして、食事で摂取した脂質の9割が中性脂肪として吸収されます。
中性脂肪の構造は、グリセリン(グリセロール)に脂肪酸が3つくっついている状態です。
※トリシアグリセロール=トリグリセリド
グリセリンと脂肪酸の結合が1つの場合は「モノグリセリド」。
2つの場合は、「ジグリセリド」になります。
3つが「トリグリセリド(トリシアグリセロール=中性脂肪)」です。
脂肪酸について
中性脂肪にくっついている脂肪酸。
この脂肪酸にはいくつかの種類があります。
見てのとおり、脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類があります。
さらに、飽和脂肪酸には、「短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸」の3種類がある。
で、現代は長鎖脂肪酸の摂取量が多くなっており、これが肥満や動脈硬化、心血管疾患など健康を損なう原因になっています。
だから、飽和脂肪酸をできるだけ控えましょうという話になっているわけです。
しかし、飽和脂肪酸のなかでも短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸は腸内環境を整えたり、脂肪の燃焼促進などダイエットや健康にプラスの効果をもたらすと言われています。
同じ飽和脂肪酸でも、細かく見ていくと良い飽和脂肪酸と悪い飽和脂肪酸がある。
これは、不飽和脂肪酸にも言えます。
魚の脂に含まれるオメガ3(DHA、EPA)は健康にプラスの効果をもたらしてくれます。
※オメガ3は肥満の解消につながるという研究もあります。
反対に、トランス脂肪酸は、肥満や心血管疾患など健康を損なう原因と言われています。
よって、脂質の大きな括りで見てしまうと、良い悪いが混在していて訳がわからなくなってしまいます。
なので、脂肪酸の種類をおさえておくことが重要です。
脂質が太る仕組みってどうなってるの?中性脂肪が作られる流れと分解されてエネルギーになるまで
では、脂質が太る仕組みについて具体的に解説していきましょう。
脂質が脂肪になるまでの流れ
脂質が脂肪になるまでの流れをイラストにしたものが下記です。
下記はさらに詳しい流れを解説しています。
専門的な用語が並んで難しいと思うので、ざっくり眺めていただければOKです。
脂質を摂取すると、
- 小腸(十二指腸)で膵液と胆汁によって、脂質は乳化(ミセル化)される
- 乳化された脂質は、消化酵素のリパーゼによって、モノグリセリドと脂肪酸に分解される。
- モノグリセリドと脂肪酸は再び乳化(ミセル化)し、小腸の上皮細胞で吸収される
- 小腸の上皮細胞のなかで、モノグリセリドと脂肪酸は中性脂肪に合成される
- と、同時に中性脂肪はたんぱく質と結合してキロミクロンと呼ばれるリポタンパク質になる
- リポタンパク質は血管に放出されるのではなく、リンパ管に放出される
- リンパ管に放出されたキロミクロンは、胸管(きょうかん)という大きなリンパ管を得て、左鎖骨付近の大静脈に合流する(脂質は、糖質とたんぱく質と異なり肝臓を経由しない)
- 大静脈に合流したキロミクロンは全身に運ばれる
- 筋肉で糖質が不足している場合、キロミクロンから脂肪酸が取り出される
- 取り出された脂肪酸は、筋肉の細胞内のミトコンドリアにて「β酸化→クエン酸回路」のプロセスを通じてエネルギー通貨であるATPを獲得する
- 筋肉で使用されなかったキロミクロンは白色脂肪細胞に中性脂肪として蓄積される
です。
ざっくり言えば、食事で脂質を摂ると、運動などで筋肉で使用されない限り脂肪として蓄積されるということです。
脂肪が分解されエネルギーになるまでの流れ
そして、蓄積された脂肪はどのようにして、分解されてエネルギーとして利用されるのでしょうか?
脂肪が分解されてエネルギーになる経路は、
- 空腹時
- 運動時
の2種類があります。
1つずつ詳しく見ていきましょう。
空腹時
まず、1つ目として空腹時の経路があります。
空腹時の脂肪がエネルギーになるまでの流れが下記のイラストです。
空腹時の脂肪がエネルギーになる流れを詳しく解説すると、
- 食事からしばらく時間が経過すると、ブドウ糖(グルコース)が枯渇する(空腹)
- ブドウ糖が枯渇すると、他からエネルギーを獲得するべくスイッチが入る
- そのスイッチがグルカゴンで膵臓からグルカゴンが分泌されると、中性脂肪を脂肪酸に分離するリパーゼ(酵素)が活性化される。
- リパーゼによって中性脂肪から分離された脂肪酸は血液に放出される
- 血液に放出された脂肪酸はアルブミンというたんぱく質と結合する
- アルブミンによって脂肪酸は筋肉へ運ばれる
- 筋肉へ運ばれた脂肪酸は筋肉の細胞に取り込まれる
- 取り込まれた脂肪酸は細胞内のミトコンドリアにてβ酸化を受け、クエン酸回路にまわされる
- クエン酸回路にまわされると、そこでエネルギー通貨のATPが生成される(脂肪燃焼)
です。
※このとき、同時に筋肉のたんぱく質も分解されアミノ酸からエネルギーを獲得(糖新生)します。
運動時
そして、運動時に脂肪がエネルギーになるまでの流れが下記です。
空腹時の脂肪がエネルギーになる流れを詳しく解説すると、
- 運動時は自律神経の交感神経が高まりアドレナリンが分泌される
- アドレナリンは脂肪組織のリパーゼ(中性脂肪を脂肪酸に分離する酵素)を活性化させる
- リパーゼによって中性脂肪から分離された脂肪酸は血液に放出される
- 血液に放出された脂肪酸はアルブミンというたんぱく質と結合する
- アルブミンによって脂肪酸は筋肉へ運ばれる
- 筋肉へ運ばれた脂肪酸は筋肉の細胞に取り込まれる
- 取り込まれた脂肪酸は細胞内のミトコンドリアにてβ酸化を受け、クエン酸回路にまわされる
- クエン酸回路にまわされると、そこでエネルギー通貨のATPが生成される(脂肪燃焼)
になります。
上記のように、脂肪が分解されてエネルギーになるのは、空腹時と運動時の2つの経路となっています。
なぜ、脂質は太るのか?
では、なぜ脂質は太るのでしょうか?
その理由を解説します。
ポイントは、結論で述べたようにエネルギーとして優先的に利用されるのは糖質で、脂質はなかなか利用されないからです。
基本、人がエネルギーを得るのは糖質になります。
糖質が十分足りている場合は、糖質をそのままエネルギーとして利用します。
このとき、脂質はエネルギーとして利用されないような仕組みになっているのです。
※脂肪酸がエネルギーとして利用されるにはCPTIの働きによってカルニチンと結合し、ミトコンドリアに輸送される必要がある。しかし、ブドウ糖(グルコース)が燃料として利用されていると、CPTIの働きがおさえらえてしまう。
よって、食事で摂取した脂質は、そのまま中性脂肪として蓄積されます。
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そして、脂質がエネルギーとして利用されるのは、
- 空腹時:食後から時間が経過し、体内の糖質が不足しグリコーゲンも枯渇すると、白色脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪から脂肪酸を分離し、それをエネルギーに変える。ちなみにこのとき、筋肉からたんぱく質も分解しそれをエネルギーにするから筋肉も減少する。
- 運動時:運動すると自律神経の交感神経が優位になりアドレナリンを分泌する。アドレナリンは白色脂肪細胞に蓄えれらた中性脂肪から脂肪酸を分離し、それをエネルギーに変える。運動時は糖質が足りている場合でもエネルギーとして利用される。
の2つのケースのときです。
糖質が足りているときは、脂質はエネルギーとして利用されない。
しかし、運動しているときは糖質が足りていても脂質がエネルギーとして利用されます。
このとき、筋肉からのたんぱく質の分解もおこりません。
このことから、運動は脂質をエネルギーとして利用するのにもっとも効果的な方法といえるでしょう。
まとめると、基本的にエネルギーとして利用されるのは糖質で、脂質はエネルギーとしてなかなか利用されない。
そして、摂食した脂質はそのまま中性脂肪として蓄積される。
だから、脂質をたくさん摂ると脂肪として蓄積されて太るのです。
以上、脂質が太る仕組みについて解説しました。
脂質が太るのは、
”エネルギーとして優先的に利用されるのは糖質で、脂質はなかなか利用されないから”
です。
まとめ
最後にもう一度内容を確認しましょう。
- 脂質とは、三大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)の一つ
- 脂質は「①エネルギー源、②細胞の膜を作る、③ホルモンを作る、④脂溶性ビタミンの吸収」といった役割がある
- 脂質は、「単純脂質、誘導脂質、複合脂質」の3種類に分かれ、中性脂肪は単純脂質に分類される
- 脂質を構成する脂肪酸には、「飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸」の2種類に分かれる
- 飽和脂肪酸に分類される長鎖脂肪酸の摂りすぎが、肥満や動脈硬化など健康に害をもたらす
- 食事で脂質を摂ると、運動などで筋肉で使用されない限り脂肪として蓄積される
- 脂肪が分解されエネルギーになる経路は「①空腹時、②運動時」の2種類がある
- なぜ脂質が太るのかというと、エネルギーとして利用されるのは糖質で、脂質は後回しになるから
- 糖質が足りている場合、脂質がエネルギーとして利用されるのは運動のみである
いかがでしたでしょうか?
今回の記事で、脂質の基本的なお話と、脂質が太る仕組みについて理解できたのではないでしょうか。
脂質は糖質に比べて太りやすい。
ダイエットでは、脂質(特に飽和脂肪酸)が過剰になることは、できるだけ避けたいですね♪
今回のお話は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
それではまた♪
参考:脂質の消化・吸収(1980年)
参考:よくわかる生理学の基本としくみ※
参考:肥満、糖・脂質代謝とステロイドホルモン(1996年)
参考:脂肪細胞、脂肪の合成と分解のメカニズム(1999年)
参考:高飽和脂肪食の体脂肪蓄積機構に関する栄養生理学的研究(2003年)
参考:肥満と生活習慣病:脂肪細胞の功罪(2005年)
参考:腸内脂質吸収(2009年6月)
参考:脂肪滴での中性脂肪の蓄積と分解を制御するPATファミリー(2010年)
参考:脂質栄養と肥満(2010年)
参考:肥満と脂肪・エネルギー代謝に関する食品機能学的研究(2013年10月)
参考:脂肪生成の分子制御と抗脂肪生成生物活性分子の可能性(2016年1月)
参考:食事脂肪の吸収に関する最近の発見 腸細胞内の細胞質脂質滴の存在、合成、代謝(2016年8月)
参考:食事脂肪への健康的なアプローチ:科学を理解し、消費者の混乱を減らすために行動を起こす(2017年8月)
参考:最大脂肪酸化に影響する因子の理解(2018年1月)
参考:脂肪酸のさまざまな役割(2018年10月)
参考:運動におけるエネルギー代謝の調節と栄養素(2021年)