なぜ食欲は止まらないのか?脳の報酬系による食欲の暴走

あ〜!これを食べたら太ってしまう!!

でも、とめられない!!

これ以上食べると太るのに!!

もうお腹いっぱい、でもとまらない、やめられない!!

なんで?わたしの食欲はとまってくれないの!?

 

ダイエットしていると、よくこういった場面に会いますよね♪

この「やめられない、とまらない」本当にツライと思います。

 

こんにちは、おっちーです。

 

  • なぜ、この「やめられないとまらない」は起きるのか?
  • なぜ、お腹いっぱいにも関わらず食べてしまうのか?

ダイエットはこの食欲との戦いであるともよくいわれています。

この戦いを制するものがダイエットを成功させ、望む未来を手にするといっても過言ではありません。

 

なぜ、食欲は止まらないのか?

これは、報酬系というものを知ることで理解できるようになります。

 

人の脳にはこの報酬系という仕組みが備わっています。

これは、生きていくために人類が獲得した機能です。

この報酬系というものを理解すれば、食欲が暴走してしまう理由がわかります。

 

この記事では、報酬系とはいったいどういったものかを解説します。

そして、それがどういう仕組で食欲をとまらなくしているのかを解説します。

 

この記事を読んだあなたは、

  • なぜ食欲がとまらないのかの理由がわかる
  • 「やめれらないとまらない」の仕組みがわかる
  • お腹がいっぱいなのに食べてしまう謎が解ける

ことでしょう。

 

それでは、詳しくみていきましょう!

なぜ食欲はとまらない?報酬系とは

なぜ食欲はとまらないのでしょうか?

それは、脳の報酬系により食欲が暴走してしまうからです。

 

ざっくり言うと、下記の流れです。

  • おいしいものを食べると脳は快感を覚える
  • 脳は一度得た快感を継続して得ようとする(カラダのことは無視)
  • だから「やめれらないとまらない」となり食べすぎてしまう

 

この「やめられないとまらない」を作り出しているのが報酬系という仕組みです。

おいしいものを食べると、この報酬系によって食欲は暴走しとまらなくなります。

 

報酬系とは

報酬系???

よくわからないですよね。

 

しかし、「報酬」という言葉はご存知かと思います。

まずは、「報酬」という言葉をおさらいしていきましょう。

 

報酬とは、「引き寄せられる、それを得たい」を引き起こす刺激のことを言います。

ニンジンをぶら下げられたら何としてでもそれを食べようとするアレです。

ここでは「ニンジン」が報酬です。

出典:かわいいフリー素材集いらすとや

 

お腹が空いている人にとって食べ物は、喜びであり報酬です。

逆にお腹が一杯であれば食べ物は、不快であり報酬ではありません。

 

また、美人や美男美女の魅惑的な顔や体型は報酬ですが、好みは人それぞれ。

その人の主観的な脳の状態によって快か不快か決まります。

【報酬の機能と働き】

報酬は、意思決定に影響を及ぼして行動を促す。

それを得たときに肯定的な感情、特に喜びを生み出す。

 

この報酬系という仕組みが機能している場所が、中脳の「腹側被蓋野(ふくそくひがいや)→側坐核(そくざかく)→腹側淡蒼球(ふくそくたんそうきゅう)」にあるドーパミン神経(A10神経)です。

報酬系回路の場所
報酬系回路の場所
A10神経の場所
出典:脳の仕組みと働きーA10神経ー(脳科学ブログ様より)

この中脳にあるドーパミン神経系(A10神経)のことを、報酬系回路と呼びます。

快感はこの報酬系回路が刺激されることによって得られます。

参考:行動嗜癖(こうどうしへき)脳科学辞典

 

人が報酬を求めるのは、快感を得るためです。

 

なぜ人は快感を求めるの?

では、なぜ人は快感を求めるのでしょうか?

 

実はこの快感を求めるのは霊長類である人だけではありません。

犬や猫といった哺乳類もヘビやトカゲといった爬虫類も、この快感を求める回路が存在します。

 

これらの生物は、食べ物を得るとあるものが活性化します。

そして、このあるものは交配することでも活性化します。

 

それが、ドーパミンです。

 

ドーパミンは、快感や多幸感を得る報酬系のホルモンで「やった!嬉しい!素晴らしい!もっとがんばるぞ!」といったポジティブな感情を呼び起こします。

喜びと共に非常にやる気に満ち溢れるホルモンです。

 

食べることは生きることにつながります。

交配することは種の保存につながります。

 

つまり、なぜ人は快感を求めるのかというと、

「生きる、種を保存する」という目的のためです。

 

快感は目的ではなく「生きる、種を保存する」ための手段です。

 

つまり、報酬系は種として生き残ることを目的として存在しています。

本来のカラダは「快感・快楽」を得るためではなく、「生きる、種を保存する」ためにデザインされています。

本来のカラダに沿う考え方をするならば、わたしたちは「快感・快楽」を得るために生きているのではなく、「生きる、種を保存する」ために生きているといえるのではないでしょうか。

※現代はこの目的と手段を履き違えてしまっている人が多いと思います。

なぜ食欲はとまらないの?

報酬系は、「食べる、交配する」など本能的な行動を快感と感じることで、行動の継続を図る「生きる、種の保存」のための神経系です。

 

この報酬系回路への刺激が「生きる、種の保存」が目的であれば、カラダが満たされればそれ以上は求めなくなるので何も問題ありません。

 

むしろ、日常生活において意欲の向上などポジティブな動機づけとなり、わたしたちにより良い生活をもたらしてくれます。

そして、報酬を期待して行動をしている時も報酬系回路は活性化するため、日々の暮らしに充足感をもたらしてくれるので良い感じです。

 

しかし、問題なのが「生きるため、種の保存のため」ではなく、「快楽のため」に報酬系回路を刺激することです。

まさに手段を目的としている状態で、こうなると非常に厄介なことが起こります。

 

それが、依存症や中毒です。

 

このドーパミンによる「快感・快楽」は非常に気持ちが良いもの。

報酬系回路への刺激が「快感・快楽」が目的だと、カラダが満たされるかどうかは関係なく、ひたすら求め続けてしまうことになります。

※カラダは有限で思考は無限といった感じかと。

 

「生きる」ための食事ではなく、「快楽」のための食事。

カラダと切り離されたこの欲求は際限なく追い求め続けてしまうことになります。

 

脳が暴走している状態といってもよいでしょう。

 

結果、カラダには肥満を防ぐセットポイントの仕組みがあるにも関わらずそれを超えてひたすら太るということになってしまいます。

ダイエット学

こんにちは、おっちーです^^今回も必ずやせて-10歳の健康美を手に入れるための「ダイエットの基礎知識」を学んでいきます。 前回は「セットポイントを狂わす原因」について学びました。[sitecard […]

 

手段を目的にしてしまった結果、本来の目的からずれてしまった悲しい結末です。

 

そして、この報酬系回路。

  • マリファナやコカインといった麻薬などの人工的な報酬刺激によって活性化する神経回路
  • 食事による報酬刺激によって活性化する神経回路

この二つはまったく同じであることがわかっています。

 

つまり、食事による快楽は麻薬の快楽とまったく一緒というわけです。

おいしいものの「やめられなとまらない」の正体は、実は麻薬と同じものなのです。

それだけ、報酬系による食欲というものは強力なものなのです。

 

では、この報酬系の仕組みを詳しくみていきましょう。

※メカニズムのお話はどうしても難しくなってしまうので面倒であれば「まとめ」まで飛んでください。

報酬系の具体的なメカニズム

報酬系回路は、中脳にある「腹側被蓋野(ふくそくひがいや)→側坐核(そくざかく)→腹側淡蒼球(ふくそくたんそうきゅう)」のドーパミン神経(A10神経)にあるとすでに述べました。

そして、「腹側淡蒼球(ふくそくたんそうきゅう)」から視床下部に入り、摂食中枢を刺激して食欲を誘発します。

味覚情報の伝達経路
味覚情報の伝達経路出典:おいしさと食行動における脳内物質の役割

具体的な流れは下記のとおりです。

  • おいしいもを食べる:味覚情報が味覚神経を通って延髄(えんずい)の孤束核(こそくかく)に入る。孤束核から結合腕傍核(けつごうわんぼうかく)に味覚情報が伝わる。結合腕傍核から視床味覚野(ししょうみかくや)へ入る「ルート①大脳辺縁系(認知)→報酬系回路(意欲)」と、直接、腹側被蓋野(ふくそくひがいや)へ入る「ルート②報酬系回路(意欲)」と二つに分かれる。
  • ルート①大脳辺縁系(認知)結合腕傍核から視床味覚野→大脳皮質味覚野→前頭前野のルートを通る。味覚野で味の質や強さが識別され、次に大脳皮質で味覚情報以外の感覚情報も入り統合される。さらに、前頭前野で学習・記憶、連想、解釈、意思決定、意欲、創造、清潔感、モラル、抽象化といった高次の情報も付加され「おいしい」が認知される。そして、認知した「おいしい」は扁桃体(へんとうたい)に送られ記憶として留められる(情動の学習)。β-エンドルフィンを分泌し、おいしさの情報は報酬系回路へ流れる。※ここでは、まずくても体によいと思いこんでいれば「おいしい」になる。ケーキなど甘いものも体に悪いと思いこんでいれば「まずい」になる。
  • ルート①β-エンドルフィンが分泌される(鎮痛・高揚・陶酔):大脳辺縁系にてβ-エンドルフィンが分泌される。β-エンドルフィンは、鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などが得られるため脳内麻薬とも呼ばれる。モルヒネの数倍の鎮痛効果があり、苦痛を取り除くときに最も多く分泌される。ストレスを軽減するためにβ-エンドルフィンが分泌され、やがて快感や陶酔感を覚える。「ランナーズ・ハイ」とはこのβ-エンドルフィンによるものであると言われている。いったん好きなものを「やみつき」にさせる麻薬的な作用がある。β-エンドルフィンはドーパミン神経(A10神経)を活性化させる。
  • ルート②報酬系回路(意欲):報酬系回路が刺激されるとドーパミンが分泌される。結合腕傍核から直接、腹側被蓋野(ふくそくひがいや)へ入るルートと、大回りして大脳辺縁系から側坐核(そくざかく)へ入るルートの2種類がある。報酬系回路は、「腹側被蓋野→側坐核→腹側淡蒼球→視床下部」のルートを指す。おいしさの情報がこの報酬系回路に入ると「もっと欲しい」という意欲を生む。一口食べて味覚情報が脳に入ると報酬系はさらに活性化する。そして、最終的においしさの情報は視床下部へ運ばれ実際の摂食行動が促される。
  • ルート②ドーパミンが分泌される(快感・快楽・多幸感):報酬系回路にてドーパミンが分泌される。β-エンドルフィンが、脳内報酬系のドーパミン神経系(A10神経系)を活性化しドーパミンが分泌される。ドーパミンは快感や多幸感を得る報酬系のホルモンで「がんばるぞ!やった!嬉しい!素晴らしい」といったポジティブな感情を呼び起こす。
  • 【食べる】視床下部:「腹へった、お腹いっぱい」は視床下部の摂食中枢でコントロールされている。報酬系回路からおいしさの情報が伝わり、摂食中枢によりアクセルが踏まれ「食べる」という行動が促される。

参考:おいしさと食行動における脳内物質の役割

 

報酬系回路では、おいしいものを食べるとドーパミンが分泌され「快感・快楽・多幸感」が生まれ、「もっと欲しい」という意欲が生まれます。

この報酬系回路が、過剰においしいもので強い刺激を受け続けると「もっと欲しい」という意欲が暴走して中毒症状を引き起こしてしまいます。

 

脳の報酬系により食欲が暴走してしまう事例として、

・ジャンクフードで育ったラットの脳は「薬物中毒者」になる

というアメリカのフロリダ州の研究所の実験があります。

 

これは、

  • 脂肪分の多いジャンクフードをラットに与え続けた。
  • すると、食事による満足感を得るための閾値が上がり、強迫的な過食のサイクルが引き起こされた(中毒)。
  • 「中毒ラット」は、電気ショックによる痛みなど否定的な結果に直面しても強迫的に食べるようになるか実験。
  • 結果、電気ショックを避けることなく「中毒ラット」はひたすら食べ続けた。
  • この現象はコカインに長時間接触する動物でも同じことが見られた。
  • 過剰なおいしい食べ物は報酬回路を”ショート”させる可能性があることがわかった。

といった内容です。

 

この内容から、おいしい食べ物による報酬は脳の報酬系回路を刺激し食物中毒症状を引き起こすことがわかります。

 

なぜ食欲はとまらないのか?

それは、脳の報酬系により食欲が暴走してしまうからです。

 

カラダが食欲を暴走させているのではなく、脳が食欲を暴走させているのです。

まとめ

最後にもう一度内容を確認しましょう。

  • なぜ食欲はとまらないのか?
  • それは脳の報酬系により食欲が暴走してしまうから
  • 報酬系とは、快感という手段を使って人が「生きる・種を保存する」という目的のために存在するもの
  • 「生きる・種を保存する」という目的ではなく、「快感・快楽」を目的にすると報酬系はショートし中毒症状を引き起こす
  • 中毒症状は「やめられない止まらない」を引き起こし食欲は暴走する
  • セットポイントを突き抜けひたすら太る

ということです。

 

以上により、

  • なぜ、この「やめられないとまらない」は起きるのか?
  • なぜ、お腹いっぱいにも関わらず食べてしまうのか?

の原因がおわかりいただけたかと思います。

 

今回のお話はここまでです。

それではまた♪

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