人工甘味料って不妊になるの?
こんにちは、おっちーです(^^)
前回に続き、人工甘味料のリスクについてのお話です。
人工甘味料でうつ病になるのって本当? こんにちは、おっちーです(^^)前回に続き、人工甘味料のリスクについてのお話です。[sitecard subtitle=健康美学 url=https://otc[…]
人工甘味料は、
- ダイエット・コーラなどの炭酸飲料
- ココアやカフェオレの粉末飲料
- サワー系のお酒
- ノンシュガーチョコレート
- のど飴
- ガム
- ゼリー
- ヨーグルト
- プロテイン
など、さまざまな商品に使われています。
※代表的な人工甘味料としてアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリンがあげられます。
現状、人工甘味料の安全性は、厚生労働省、FDA(米国食品医薬品局)、EFSA(欧州食品安全機関)など、さまざまな国の公衆衛生機関によって担保されています。
しかし、人工甘味料は不妊になるのでは?といった噂がたえません。
もし、これが本当だとしたら妊活されている人にとっては大問題でしょう。
そこで、今回のテーマは人工甘味料は不妊になるの?問題について取り組みたいと思います。
この「人工甘味料は不妊になるの?問題」をハッキリさせるために、論文を4本熟読しました。
この記事では、
- 人工甘味料が不妊になるメカニズム
- 人工甘味料は本当に不妊になるのか実際の研究事例
について詳しく解説しています。
これを読めば、あなたは人工甘味料は不妊になるのか?本当のところがわかるでしょう。
それではいってみましょう!(๑•̀ㅂ•́)و✧
人工甘味料は不妊になる?原因は卵巣が酸化ストレスを受けること
人工甘味料は不妊になるのでしょうか?
結論は、
”人工甘味料は卵巣の機能低下を引き起こし、不妊症になる確率を上げる”
です。
なぜなら人工甘味料は、
- 酸化ストレスにより卵巣のミトコンドリアの機能不全を引き起こし、卵子の成熟率を低下させる
といったことがあるからです。
詳しく解説します。
人工甘味料が卵巣に酸化ストレスを与える
酸化ストレスの原因となるのが、人工甘味料のアスパルテーム。
アスパルテームは、胃や腸で消化されると、アスパラギン酸(50%)、フェニルアラニン(40%)、メタノール(10%)の割合で代謝されます。
※アスパラギン酸とフェニルアラニンはいずれもアミノ酸(たんぱく質の部品)です。
アスパルテームが、酸化ストレス物質であることは下記の記事でも述べています。
人工甘味料は腎臓に負担がかかるの? こんにちは、おっちーです(^^)前回に続き、人工甘味料のリスクについてのお話です。[sitecard subtitle=健康美学 url=https://otch[…]
人工甘味料でうつ病になるのって本当? こんにちは、おっちーです(^^)前回に続き、人工甘味料のリスクについてのお話です。[sitecard subtitle=健康美学 url=https://otc[…]
これらの記事では、アスパルテームの酸化ストレスにより腎臓に負担をかけたり、脳にダメージを与えてうつ病になる可能性に触れています。
酸化ストレスとは、酸化反応により引き起こされる有害な作用のことです。
活性酸素による酸化反応(錆び)が、細胞を傷つけたり死滅させることで老化が進むことが酸化ストレス。
酸化ストレスを増加させる原因となるのが、アスパルテームから代謝されるメタノールです。
参考:アスパルテーム慢性曝露によるアルビノラットの脳内酸化ストレスへの影響(2012年9月)
で、下記の論文では人工甘味料のアスパルテームをラットに投与すると、卵巣の酸化ストレスレベルが高くなったと報告しています。
参考:アスパルテームの摂取とミトコンドリア異常による卵巣機能低下および不妊症リスク(2022年10月)
ダイエット飲料の頻繁な摂取は、卵子の異形性、胚の質の低下、および妊娠率への悪影響と関連していた。
我々は、臨床観察、動物実験および試験管の試験を通して、アスパルテームの有害作用と不妊症リスクを増加させる潜在的なメカニズムについて検討した。
・・・省略・・・
【2.4. 卵巣および顆粒膜細胞におけるアスパルテーム誘発酸化ストレス】
アスパルテームを投与したラットの卵巣では、カタラーゼおよびスーパーオキシドジスムターゼの発現量の低下が観察された。
※カタラーゼと、スーパーオキシドジスムターゼは抗酸化酵素です。
酸化ストレスマーカーである8-OHdGおよびマロンジアルデヒドのレベルは、アスパルテーム処理ラットの卵巣で増加した。
※8-OHdGは、8-ヒドロキシ-2-デオキシグアノシンのことで、活性酸素を発生する発がん物質。
※マロンジアルデヒドは、脂質が活性酸素により酸化されたもので有害な化合物。酸化ストレスレベルの指標として使われる。
また、10mmolおよび20mmolのアスパルテームで処理した群では、細胞内の活性酸素レベルが有意に増加した。
これらの結果から、アスパルテーム投与は抗酸化活性を抑制し、卵巣を含む多くの臓器で酸化ストレスが高くなる可能性があることが示唆された。
このことから、人工甘味料であるアスパルテームは卵巣に酸化ストレスを与えることになります。
卵巣が酸化ストレスを受けるとどうなる?
人工甘味料のアスパルテームが、卵巣に酸化ストレスを与えることがわかりました。
では、卵巣が酸化ストレスを受けるとどういったことが起きるのでしょうか?
詳しく見ていきます。
卵巣のミトコンドリア機能不全により卵子の成熟率が低下し、不妊を引き起こす
卵巣が酸化ストレスを受けると、卵巣の細胞(顆粒膜細胞:かりゅうまくさいぼう)に住むミトコンドリアの機能が低下します。
ミトコンドリアとは、細胞の内側に存在する小器官のことです。
ミトコンドリアは、エネルギー通貨のATP(アデノシン三リン酸)を作っている非常に重要な働きを担っています。
ATPとは、すべての植物、動物および微生物の細胞内に存在するエネルギー分子。
ATPは、細胞の増殖、筋肉の収縮、植物の光合成、菌類の呼吸や酵母菌の発酵などの代謝過程にエネルギーを供給する化合物である。
このミトコンドリアによるATPを作り出すシステムのことを呼吸と呼びます。
息を吸って吐くという呼吸は、このエネルギー通貨であるATPを作り出すシステムのことです。
人工甘味料のアスパルテームによる酸化ストレスは、この呼吸に障害を与えるもの。
下記の論文は、「卵巣が酸化ストレスを受ける」でご紹介したものと同じものですが、人工甘味料のアスパルテームが卵巣のミトコンドリアに障害を起こすと報告しています。
参考:アスパルテームの摂取とミトコンドリア異常による卵巣機能低下および不妊症リスク(2022年10月)
ダイエット飲料の頻繁な摂取は、卵子の異形性、胚の質の低下、および妊娠率への悪影響と関連していた。
我々は、臨床観察、動物実験および試験管の試験を通して、アスパルテームの有害作用と不妊症リスクを増加させる潜在的なメカニズムについて検討した。
・・・省略・・・
ミトコンドリアは細胞のエネルギー産生の中心であるが、活性酸素の主な発生源である。
活性酸素は、ミトコンドリアの電子輸送系酵素複合体IおよびIIIの電子漏出による副産物である。
通常、活性酸素はミトコンドリア内の抗酸化酵素であるスーパーオキシドジスムターゼとグルタチオンによって除去される。
しかし、過剰な活性酸素の発生はミトコンドリアを傷つけ、結果的に活性酸素の発生を増加させる。
Zorovらは、活性酸素の放出が誘導され、酸化圧が上昇することを提唱した。
酸化圧の増加は、ミトコンドリアの機能障害を引き起こす。
本研究では、NCCRとSCCRの両方でミトコンドリア酵素の機能障害が見られ、アスパルテーム処理した顆粒膜細胞および卵巣ではATP産生能が低下していることが示された。
※NCCR(ミトコンドリア複合体 I および III)、SCCR(ミトコンドリア複合体 II および III)
ミトコンドリア機能障害には、ミトコンドリア電子輸送鎖酵素複合体の活性低下とミトコンドリア膜電位の損失が含まれ、その結果、ミトコンドリアの主要機能であるエネルギー産生ATPが阻害される。
ミトコンドリア生合成は、アスパルテームによる酸化的損傷の結果生じたミトコンドリアの機能不全を補償するために誘導された。
省略以降の文章を要約すると、人工甘味料のアスパルテームは、卵巣を構成する顆粒膜細胞のミトコンドリアでATPを作る能力を低下させたということです。
ATPはエネルギー通貨であり、このエネルギーが細胞の生命活動に非常に重要となります。
ATPを作る能力が低下することは、細胞の生命を脅かすということです。
で、卵巣を構成する顆粒膜細胞は、卵子の成熟と初期発生を制御する重要な役割を担っています。
顆粒膜細胞にてATPが不足することで、この卵子の成熟と初期発生の制御に支障をきたす。
妊娠には、卵子の成熟が必須となるので顆粒膜細胞の働きに支障が出ると不妊の原因となります。
まとめると、
- 卵巣(顆粒膜細胞)が酸化ストレスを受ける
- 酸化ストレスにより卵巣(顆粒膜細胞)のミトコンドリアに障害が起きる
- ミトコンドリアの障害によりエネルギー通貨であるATPの生産性が落ちる
- 卵巣(顆粒膜細胞)にエネルギー不足が起きる
- 顆粒膜細胞のエネルギー不足により、卵子の成熟と初期発生の制御がうまく機能しない
- 顆粒膜細胞が機能しないため卵子が成熟せず、妊娠に至らないため不妊となる
といった感じ。
よって、人工甘味料のアスパルテームは不妊につながる可能性があるということです。
人工甘味料はホントに不妊になるの?実際の研究事例
人工甘味料のアスパルテームが不妊につながるメカニズムについて解説しました。
では、実際に人工甘味料は不妊になるのか?を調べた研究がありますのでご紹介します。
この研究は、上記でご紹介した論文と同じものですが、これはコホート研究も含まれていて大変ありがたいです。
840名によるコホート研究の結果、人工甘味料のアスパルテームは不妊症になる確率が上昇したと報告しています。
参考:アスパルテームの摂取とミトコンドリア異常による卵巣機能低下および不妊症リスク(2022年10月)
ダイエット飲料の頻繁な摂取は、卵子の異形性、胚の質の低下、および妊娠率への悪影響と関連していた。
我々は、臨床観察、動物実験および試験管の試験を通して、アスパルテームの有害作用と不妊症リスクを増加させる潜在的なメカニズムについて検討した。
・・・省略・・・
【2.2. アスパルテーム消費量と不妊症リスクの関係】
参加者840名において、アスパルテームの摂取は、「オッズ比:1.30」と不妊症リスクの上昇と関連していた。
この関連は、35歳未満の女性においてほぼ有意であった「オッズ比: 1.79」。
35歳未満の女性をさらに低摂取群と高摂取群に分類すると、不妊症のオッズ比は、アスパルテーム低摂取群の「オッズ比: 1.58」 からアスパルテーム高摂取群の「オッズ比: 2.01」 に増加し、有意な用量反応関連が認められた。
妊娠までの期間は、アスパルテームを摂取している女性では、摂取していない女性よりも長かった(1.28 ヶ月)。
全体として、アスパルテームの摂取は「オッズ比:1.30」となっており、1以上になっているため不妊症となる確率が上がったといえます。
そして、35歳未満の女性に限定するとオッズ比はさらに「オッズ比:1.79」と、より不妊症になる確率が上昇している。
さらに、アスパルテームの低摂取グループは「オッズ比:1.58」に対して高摂取グループは「オッズ比:2.01」となっています。
これはアスパルテームの摂取量が増えるほど、不妊症になる確率が上昇しているということです。
オッズ比とは?
オッズ比とは、ある事象の起こりやすさを2つのグループで比較したもの。
オッズ比が1の場合、2つのグループは同じ確率でその事象が起こる。
オッズ比が1を超える場合、要素があるグループの方がその事象が起こる確率が上である。
オッズ比が1未満の場合、要素があるグループの方がその事象が起こる確率は下である。
ちなみにオッズ比の数値が高ければ高いほど、その事象が起こる確率は上がる。
コホート研究とは、原因となる要素を持つグループと持たないグループの2つに分けて、未来に向けて長期間追跡して結果がどうなるかを観察する研究のことです。
EBM(Evidence-Based Medecile:根拠に基づく医療)では、コホート研究のエビデンスの強度は真ん中ぐらいです。
人工甘味料が不妊症になるという研究は、メタアナリシス、ランダム化比較試験では見当たりませんでした。
だから、人工甘味料が不妊症になるとまで言い切ることはできません。
しかし、上記の研究により人工甘味料のアスパルテームが不妊症になるメカニズムが提示されており、またコホート研究の結果もそれを支持するものとなっています。
よって、可能性はそれなりにあるものかと。
これらのことから、人工甘味料のアスパルテームは不妊症になる確率を上げると考えます。
以上、「人工甘味料は不妊になるの?問題」について取り組みました。
再度、結論を申し上げると、
”人工甘味料は卵巣の機能低下を引き起こし、不妊症の確率を上げる”
です。
まとめ
最後にもう一度内容を確認しましょう。
- 人工甘味料のアスパルテームは、胃や腸で消化されるとメタノールに代謝され、これが卵巣に酸化ストレスを与える
- 卵巣が酸化ストレスを受けると、顆粒膜細胞のミトコンドリアに障害が起きる
- ミトコンドリアの障害によりエネルギー通貨であるATPの生産性が落ちる
- 卵巣(顆粒膜細胞)にエネルギー不足が起きる
- 卵巣(顆粒膜細胞)のエネルギー不足により、卵子の成熟と初期発生の制御がうまく機能しなくなる
- 卵子が成熟せず妊娠に至らないため不妊となる
いかがでしたでしょうか?
人工甘味料のアスパルテームは、不妊症になる確率を上げます。
最近はいたるところに人工甘味料が使われておりますので、商品を購入する際はちゃんと裏も見て人工甘味料が入っているかどうかチェックする必要があるでしょう。
今回の記事で、人工甘味料は不妊になるのか?本当のところをご理解いただけたかと思います。
今回のお話は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
それではまた♪