体内時計が狂うとどんな病気になるの?
そもそも体内時計ってなに?
こんにちは、おっちーです(^^)
体内時計って聞いたことあるでしょうか?
「なんか聞いたことあるけど詳しくは・・・」という人もいらっしゃるかもしれませんね。
実は、体内時計は健康に欠かせないものなんです。
最近の研究で、体内時計が狂うと病気になるということがわかっています。
なんか、恐ろしいですね^^;
で、体内時計が狂うといったいどんな病気になるのでしょうか?
そもそも体内時計ってなんなのでしょうか?
これをハッキリさせるために、体内時計に関する論文を23本熟読しました。
徹底的にインプットしたのでこの記事の質には自信があります!(๑•̀ㅂ•́)و✧
この記事では、
- 体内時計とはいったい何か?
- 体内時計が狂うとどんな病気になるのか?
- について解説しています。
これを読み終えれば、あなたは体内時計について理解できることでしょう。
そして、体内時計が狂うと、どんな病気になるかわかると思います。
それではいってみましょう!(๑•̀ㅂ•́)و✧
体内時計とは?
では、結論です。
体内時計とは、細胞レベルで24時間周期のリズムを刻む時計遺伝子のことです。
人のカラダは、この24時間周期でリズムを刻んでいます。
で、このリズムが狂うと、
- 肥満
- 糖尿病
- 動脈硬化→心筋梗塞・脳卒中
- がん
- 睡眠障害
といった生活習慣病につながってしまいます。
詳しく解説します。
体内時計とは?体内時計の役割
地球上の生命は、地球の自転によって引き起こされる光の概日リズム(サーカディアンリズム)に従い命を刻んでいます。
花も虫も動物も人間もすべての生命は、この太陽の光のリズムに従い生きています。
朝になると目覚め、夜になると眠る。
お昼になると「グー」とお腹が鳴る。
人は、このような睡眠・覚醒サイクル、摂食サイクル(腹時計)の他に、代謝、体温、ホルモンの分泌にいたるまで24時間周期の概日リズムを細胞レベルで刻んでいます。
体を構成する細胞の一つ一つが、この24時間周期のリズムを刻むことを体内時計と呼びます。
日中はカラダと心が活動モードに、夜はカラダと心が休息モードに。
これを成立させるのは、この体内時計がカラダに機能として備わっているからなのです。
生命は、
- 活動期:起きている時に食べ物をとってエネルギーを得る
- 休息期:寝ている時に活動期に受けたダメージを回復する
を繰り返すから維持されます。
現代人であれば、
- 活動期:起きている時に仕事をして収入を得る、または夢を叶える活動をする
- 休息期:仕事で受けたストレスや疲れ、活動期に受けたダメージを回復する
といったところでしょう。
活動期に活動するから得たいものを得る。
休息期にダメージを回復するからまた活動できる。
このサイクルがあるからこそ、生命は生き生きとしていられるのです。
この活動期と休息期のスイッチを切り替えるのが体内時計の役割です。
体内時計を構成する時計遺伝子
では、体内時計はいったいどのような仕組みで活動期と休息期のスイッチを切り替えているのでしょうか?
その仕組を支えているのが時計遺伝子です。
時計遺伝子には、
- CLOCK(clock、クロック):1997年に哺乳類で初めて発見された時計遺伝子。朝にBMAL1と結合することで、PERとCRYの時計遺伝子にPERとCRYのたんぱく質をを作りだすように指令を出す。
- BMAL1(ビーマルワン):脂肪合成にも関わっている時計遺伝子。朝にCLOCKと結合することで、PERとCRYの時計遺伝子にPERとCRYのたんぱく質を作りだすように指令を出す。
- PER(period、ピリオド、パー):CLOCKとBMAL1からの指令によってPERたんぱく質を作り続ける。PERたんぱく質が十分蓄積されるタイミング(夜)で「もういらない」とCLOCKとBMAL1に抑制するように信号を送る。そして、夜から朝にかけてPERたんぱく質は分解され消滅していく。CRYとセット。
- CRY(cryptochrome、クリプトクロム、クライ):CLOCKとBMAL1からの指令によってCRYたんぱく質を作り続ける。CRYたんぱく質が十分蓄積されるタイミング(夜)で「もういらない」とCLOCKとBMAL1に抑制するように信号を送る。そして、夜から朝にかけてCRYたんぱく質を質は分解され消滅していく。PERとセット。
があり、これらの時計遺伝子が中心となって24時間周期の概日リズムを刻んでいます。
※上記以外に10〜20種類程度の時計遺伝子があります。
たんぱく質は、細胞の核の中にある遺伝子(DNA)から作られるのが基本です。
つまり、上記で上げた時計遺伝子から「CLOCK、BMAL1、PER、CRY」という時計たんぱく質が作られるということです。
※時計遺伝子とたんぱく質が同じ名前で混乱しやすいので、ここからは時計遺伝子もたんぱく質もひっくるめて「CLOCK、BMAL1、PER、CRY」と表現を統一します。
これらのたんぱく質が下記のように24時間周期のリズムを刻みます。
- 活動期:朝になると、CLOCKとBMAL1が結合し始めることで、PERとCRYの合成が加速し蓄積を始める。
- 休息期:夜になると、PERとCRYが満杯に近づくことで、PERとCRYがCLOCKとBMAL1の働きにブレーキをかける。すると、蓄積されたPERとCRYは分解され消滅していく。
この「CLOCK、BMAL1、PER、CRY」の時計遺伝子が、一つ一つの細胞の核に組み込まれ時を刻んでいます。
「腸、肝臓、腎臓、etc」や「筋肉、脂肪、etc」は細胞のかたまりです。
これらの臓器や組織にある体内時計のことを抹消時計と呼びます。
そして、これら抹消時計を統括するのが、脳の視床下部の視交叉上核(しこうさじょうかく)にある中枢時計です。
この中枢時計がマスタークロックとして中心となっており、抹消時計はこの中枢時計に同期をとるように調節されます。
体内時計は、季節の変動や突発的なライフサイクルの変動に対応するため、自らの時間を調節する仕組みが備わっています。
また、人の体内時計は24時間10分〜24時間30分と24時間の周期と少しずれているという性質があるようです。
※少し前までは25時間と言われていました。なぜ24時間ピッタリでないかの理由については調べたのですがわかりませんでした。
このまま放っておくと、少しずつ時計がずれていく。
これを調節するのが、脳の視床下部にある視交叉上核(中枢時計)の役割です。
で、体内時計の時間の調節は下記の流れで行われます。
- 光の明暗の刺激を目の網膜でキャッチ
- 目の網膜から脳の視交叉上核(中枢時計)に光の情報が送られる
- 視交叉上核(中枢時計)にて光の情報を元に体内時計のズレを調節する
- 視交叉上核(中枢時計)が自律神経を介して、臓器や組織の抹消時計の時間を同期させズレを調節する
参考:時間栄養学によるサーカディアンリズム制御(2021年)
以上、体内時計とは、細胞レベルで24時間周期のリズムを刻む時計遺伝子のことです。
体内時計が狂うとどんな病気になるの?
この中枢時計と抹消時計。
この言葉からもわかるとおり、体内時計は1個ではありません。
親となる脳の視床下部にある視交叉上核の中枢時計が1個。
子である臓器や筋肉などの抹消時計がn個と数え切れないほどあります。
もし、これらの時計の時刻がバラバラだったら・・・。
細胞によって時刻情報が乖離し、細胞間同士の連携作業がスケジュール通りに進められなくなってしまいます。
※ITに詳しい人ならサーバー間の時計がバラバラだと、データ転送処理(バッチ処理)でエラーになることがイメージできると思います。
このような体内の時差ボケが起こると、細胞は疲弊し生理機能が低下してしまいます。
生理機能が長期的に低下すると、
- 肥満:体内時計が狂うとミトコンドリアの機能が低下する。ミトコンドリアとは、細胞内に存在する呼吸を司る器官でエネルギー通貨であるATPを作り出す。ミトコンドリアは脂肪細胞の白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞にも存在し、エネルギーの貯蔵と消費に関わっている。脂肪が分解されるのはミトコンドリアの働きがあってからこそ。しかし、ミトコンドリアの機能が低下すると脂肪が分解されにくくなる参考:脂肪組織とミトコンドリアにおける代謝のリズム(2018年1月)。実際、時計遺伝子のCLOCKを破壊したマウスは肥満を示した。参考:概日時計変異マウスの肥満とメタボリックシンドローム(2005年5月)
- 糖尿病:時計遺伝子を破壊し体内時を強制的に狂わせたたマウスは、高血糖になることがわかっている。また、シフト勤務者においてもインスリンの効きが悪くなり糖尿病につながる「インスリン抵抗性」のリスクが増加することも判明している(インスリン抵抗性は肥満にもつながる)参考:概日リズムと睡眠サイクルを操作して代謝性疾患を予防する(2015年3月)。そして、メラトニンレベルの低さもインスリンの感受性を低め、2型糖尿病につながると指摘されている。参考:メラトニン分泌量と2型糖尿病発症率(2013年3月)
- 動脈硬化→心筋梗塞・脳卒中:心筋梗塞や脳卒中の原因となる動脈硬化は、血液中の悪玉コレステロール(LDL、VLDL)が沈着してドロドロのお粥状態になることで血管が詰まってしまうことによるもの。マウスの研究で時計遺伝子のCLOCKをいじると脂質の吸収があがり、さらに時計遺伝子のBMAL1を破壊すると、悪玉コレステロール(LDL、VLDL)が上昇し動脈硬化につながることがわかった。参考:概日時計による脂質代謝の制御と代謝性疾患に関する研究(2020年)
- がん:メラトニンが持つ抗酸化作用の特性は、抗がん効果をもたらす。夜間のメラトニンレベルを下げると、がん腫瘍の発生や成長が増加することがわかっている参考:メラトニンとがんの特徴(2018年2月)。実際、夜間のシフト勤務者は体内時計が狂う傾向にあり、乳がんや前立腺がんのリスクが高まることがわかっている。参考:シフト勤務者における慢性疾患のリスク因子と睡眠を改善するための非薬理学的介入。システマティックレビューとメタアナリシス(2021年1月)
といった生活習慣病につながってしまいます。
そして、体内時計が狂うことで忘れてはならないのが睡眠障害です。
睡眠を誘発するのは、脳の松果体から分泌されるメラトニンというホルモンが重要です。
メラトニンは、日中に低下し夜間に上昇するという概日リズムを持っています。
で、夜間に強い光を浴び続けるとメラトニンの分泌が弱くなるということがわかっています。
メラトニンは睡眠を誘発するホルモンです。
メラトニンが分泌されないということは、つまり眠れなくなるというわけです。
眠れないと疲労が蓄積され体調を崩し、
- 免疫機能の低下(病気にかかりやすくなる)
- うつ病
- 睡眠不足による不慮の事故
と、困ったことに。
体内時計の狂いは睡眠障害を引き起こすので気をつけたいところです。
参考:ヒトの睡眠、概日リズムおよびその調節におけるメラトニンの役割に関する新しい視点(2018年8月)
以上、体内時計と、体内時計が狂うことによりかかる病気について解説してきました。
体内時計とは、24時間周期のリズムを刻む時計遺伝子のことです。
そして、体内時計が狂うと、
- 肥満
- 糖尿病
- 動脈硬化→心筋梗塞・脳卒中
- がん
- 睡眠障害
といった生活習慣病につながります。
まとめ
最後にもう一度内容を確認しましょう。
- 体内時計とは、細胞レベルで24時間周期のリズムを刻む時計遺伝子である
- 体内時計は、睡眠・覚醒サイクル、摂食サイクル(腹時計)の他に、代謝、体温、ホルモン分泌にいたるまで支配している
- 活動期と休息期のスイッチの切り替えを体内時計が担っている
- 体内時計が24時間周期のリズムを刻むのは、時計遺伝子の「CLOCK、BMAL1、PER、CRY」によるもの
- 体内時計には脳の「中枢時計」と内臓や筋肉の「抹消時計」の2種類がある
- 中枢時計は、目の網膜の光によって調節され、その調節結果が抹消時計に反映される
- 体内時計が狂うと生理機能が低下し、「肥満、糖尿病、動脈硬化→心筋梗塞・脳卒中、がん」といった生活習慣病につながる
今回の記事で、体内時計について理解できたのではないでしょうか。
そして、体内時計が狂うとかかる病気についてもおさえることができたと思います。
体内時計は、必ずやせて-10歳の健康美につながるとても重要なもの。
まずは、今回の記事で体内時計の基礎知識をおさえていただければと思います。
じゃあ、体内時計を整えるためにはどうすればいいの?
そんな疑問がわいてくると思います。
それは、次回の記事で解説します。
今回のお話は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
それではまた♪