腸内環境を整えるにはどうしたらいいの?
腸活の具体的な方法を知りたい!
こんにちは、おっちーです(^^)
腸活すると、
- 便秘や下痢が改善される
- 免疫機能が改善される(風邪ひかない、健康でいられる)
- 老化予防や美肌などアンチエイジングに良い
- メンタルが安定する(頭が良くなり、性格が前向きになる可能性も)
- 痩せる!
といったさまざまなメリットが得られます。
腸活は、あなたの
- 痩せて綺麗になりたい!
- 筋肉ムキムキになってカッコよくなりたい!
- いつまでも若々しく絶好調でいたい!
- いつも心穏やかでご機嫌でいたい!
を叶える第一歩となります。
腸が整っていなければ、基礎となる土台が固まっていないのと同じ。
いくらダイエットや筋トレを頑張っても、基礎が固まってなければ意味のないものになってしまいます。
腸は、それほど大事なもの。
腸活ってなに?なぜ腸活が必要なの? こんにちは、おっちーです。(^^)最近、腸活って良く耳にしますよね♪ あ〜、う○この話でしょ?たしかに便秘はツライからね・・・。[…]
※まだこの記事を読んでなければ、先にこちらをお読みください。
じゃあ、腸活って具体的に何をすればいいの?
今回は、そんな疑問にお答えしたいと思います。
この”腸内環境を整える方法【前編】”をハッキリさせるために、ピックアップした論文は42本!
その中から熟読した論文は21本と、今回も気合をいれてインプットしました!
そして、この中から確実に腸活につながる方法を厳選!
その数は全部で14個です!
※一挙に14本をご紹介したかったのですが、あまりにも長くなってしまうため【前編】と【中編】と【後編】とで分けさせていただきましたm(_ _)m
この記事では、腸内環境を整える具体的な方法【前編】として
- 腸内環境の状態を知る4つの兆候
- 腸内環境を乱さないための6つの方法
について詳しく解説しています。
※中編と後編では、腸内環境を整える具体的な方法8つを解説します。
これを読み終えれば、あなたは自分の腸内環境の状態を知る方法がわかり、さらに腸内環境を乱さないための方法を手に入れることができるでしょう。
きっと、この知識はあなたの役に立つはずです!(๑•̀ㅂ•́)و✧
それでは、詳しく解説していきます!
自分の腸内環境の状態を知るための4つの兆候
腸内環境を整えるためには、まずは自分の腸内環境の状態を知ることから始めましょう!
実は、腸内環境に問題がないのであれば腸活は必要ありません!
心おきなくダイエットや筋トレに励んでいただければと思います。
しかし、下記の兆候が1つでもあれば、ダイエットや筋トレをする前に腸活から始められることを強くオススメします!
で、「腸内環境を乱さないための方法6選!」と「腸内環境を整える方法8選!」を実施していただければ、あなたの腸内環境は整うことでしょう。
※前編は腸内環境の状態を知るための兆候4つと、腸内環境を乱さないための方法6つをご紹介します。
※中編と後編では腸内環境を整える方法8つをご紹介します。
それでは、詳しく解説します。
兆候1:便の調子が悪い(便秘・下痢)
腸内環境を知るのに一番手っ取り早いのが、便の状態を見ることです。
下記に腸内環境と便の関係がわかるイラストを載せますので、ご自分の便の状態をチェックしてみてください。
このイラストの背景がピンク色の便が健康な便です。
形状はバナナやソーセージ型で、色は黄色〜茶色ぐらい。
このような便であれば、健康な便であるといえるでしょう。
健康的な便は、プカプカと水に浮くのが特徴です。
そして、ポイントは毎日健康な便が出ること。
もし、毎日健康な便が出るのであれば、腸内環境は整っていますので腸活をする必要はありません。
参考:健康な成人におけるプロバイオティクス補給による糞便微生物叢組成の変化:無作為化対照試験のシステマティック・レビュー(2016年5月)
しかし、毎日健康な便を出すのってなかなか難しいことなんです。
腸内環境はちょっとしたことで乱れるので、ある日はドロドロの泥状便だったり、ある日はカッチカチのコロコロ便だったり、ある日はまったく音沙汰なしの日もあります。
これは、その日に食べたものや日中の活動などによって腸内環境は流動的に動くから。
つまり、腸内細菌は毎日活発に変化しているということなのです。
ですから、少しでも便の状態が悪い日がある。
このような場合は、腸活を実行してください。
兆候2:ニキビ・肌荒れがある
また、腸内環境が悪いとニキビや肌荒れが起こります。
これは、腸内細菌による腸のバリアが崩れることで毒素が体内に流れ出し、最終的に皮膚に悪影響を与えるためです。
腸の状態は、皮膚の状態に影響を与えることがわかっています。
これを「腸ー皮膚軸」と呼び、この分野でさまざまな研究が進められています。
参考:腸-皮膚軸:微生物によるディスバイオシスと皮膚疾患との相互関係に関する現在の知見(2021年2月)
腸内細菌は、免疫細胞と共に免疫機能を調節し炎症を抑える働きをしています。
腸内環境が乱れて腸内細菌の免疫調節機能が働かなくなると、炎症が起こり皮膚炎が発症します。
参考:尋常性ざ瘡、プロバイオティクス、腸-脳-皮膚軸-未来への回帰?(2011年1月)
参考:にきびにおけるマイクロバイオームの役割の可能性:包括的レビュー(2019年7月)
※尋常性ざ瘡とはニキビのことです。
皮膚炎などが起こるのは、腸内細菌が乱れて免疫機能が低下してしまうから。
もし、ニキビや肌荒れが起きた場合は、腸内環境の乱れが疑われます。
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※詳しくはコチラをご参照ください。
兆候3:甘いものやジャンクフードへの欲求が止まらない
腸は脳と迷走神経と呼ばれる神経で直接つながっています。
腸は脳と対等に対話しているのです。
※これを「腸脳軸」「脳腸相関」といいます。
そして、腸内細菌はこの迷走神経を通して自ら作る代謝物(神経伝達物質やホルモン)で脳に直接影響を与えることができます。
腸内細菌は、
- 食の好みを変える:無菌マウスは通常の腸内細菌を持つマウスと比べ、舌と腸内の脂肪に対する味覚受容体が変化していることがわかった。無菌マウスは、より甘いものを好む甘味受容体の数が多かった。これらの結果は、腸内細菌が味覚受容体を変化させることで食の好みを変える可能性を示唆している。参考:食行動は消化管内細菌叢によって操作されているのか?進化的圧力と潜在的メカニズム(2014年10月)
- 食行動に影響を与える:迷走神経が食行動と体重を調節していることを示唆する証拠がある。満腹状態のマウスにノルアドレナリン(興奮系の神経伝達物質)を投与すると過剰な摂食行動を引き起こした。一般的に運動・ヨガ・瞑想など副交感神経(リラックス系の神経)を活性化することで意志力を強化し、食物摂取の正確さを向上させると考えられていることから、ノルアドレナリンなどの興奮系の神経伝達物質が過食につながることは不思議ではない。参考:食行動は消化管内細菌叢によって操作されているのか?進化的圧力と潜在的メカニズム(2014年10月)
- ホルモンを作り食欲に影響を与える:腸内細菌は、未消化の食物(主に食物繊維)から短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸)を作る。これが腸管内分泌細胞であるGPR41やGPR43と結びつくことで食欲をおさえるペプチドYYやGLP-1といったホルモンを作り、これが脳の視床下部の摂食中枢に作用して食欲をおさえる。しかし、腸内細菌のバランスが乱れるとこれらのホルモンが作られなくなり食欲は暴走する。参考:肥満と食中毒における脳-腸-マイクロバイオーム相互作用(2020年11月)
といった働きを持っています。
これら腸内細菌の働きによって、人の食の好みや食行動、食欲に変化を与えます。
ある論文では、腸内細菌が宿主である人を操っているという仮説を提示しているほどです。
参考:【仮説】バクテリアが宿主の食欲をコントロールする(2013年2月)
もし、甘いものやジャンクフードへの欲求が止まらない場合は、腸内環境の乱れが疑われます。
腸活するとなぜ痩せることができるの? こんにちは、おっちーです(^^)腸活すると痩せるってよく聞きますよね? で、ネットで「腸活 ダイエット」って調べてみたのですが、、、残[…]
※詳しくはコチラをご参照ください。
兆候4:メンタルの悪化が疑われる
腸はメンタルに影響するという研究が増えています。
参考:自閉症スペクトラム障害患者およびその第一度近親者における腸管バリアの変容(2010年10月)
参考:プロバイオティクス含有乳飲料の飲用が気分および認知に及ぼす影響(2006年12月)
これらの研究から腸内細菌は、
- 脳の働きをよくする:腸内細菌が未消化の食物(主に食物繊維)から作る短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸)は、脳の「成長・維持・再生」を促進するBDNF(脳由来栄養因子)を増加させる。このBDNFが脳の働きを良くする。参考:腸内細菌叢がマウスの脳由来神経刺激因子(BDNF)の中枢レベルおよび行動に影響を及ぼすこと(2011年8月)
- 脳内環境を整備する:脳にはミクログリアという神経細胞(ニューロン)を支える細胞がある。このミクログリアが、腸内細菌から作られる短鎖脂肪酸によって成熟する。ミクログリアは神経組織の有害物質を排除したり、ダメージを受けた時に修復するなど、ニューロンのサポート役として脳内環境を整備する。参考:中枢神経系におけるミクログリアの成熟と機能を絶えず制御する宿主微生物群(2015年7月)
- メンタルを安定させる:セロトニンは、神経伝達物質の1つで、ドーパミン(喜び・快楽)、ノルアドレナリン(恐怖・驚き)を制御し精神を安定させる働きをする。このセロトニンの90%が腸に存在している。腸にセロトニンが多いのは、「腸クロム親和性細胞」という腸の細胞から腸内細菌によってセロトニンが抽出されるため。ここで抽出されたセロトニンは腸の迷走神経をたどって最終的に脳の視床下部へ作用する。参考:腸内細菌叢の常在菌が宿主のセロトニン生合成を制御していること(2015年2月)
といった働きを持っているということがわかりました。
腸内細菌は、脳へ直接作用する物質を作ります。
そして、精神の安定にとても重要となるセロトニンを腸内細菌が、抽出することにより、メンタルに大きな影響を与えています。
もし、メンタルが悪化している場合は腸内環境の乱れを疑いましょう。
以上、
- 兆候1:便の調子が悪い(便秘・下痢)
- 兆候2:ニキビ・肌荒れがある
- 兆候3:甘いものやジャンクフードへの欲求が止まらない
- 兆候4:メンタルの悪化が疑われる
をあげました。
これらのなかから1つでも兆候が見られる場合は、腸内環境が乱れている可能性がありますので、腸活することをオススメします。
腸内環境を乱さないための方法6選!
それでは、具体的な腸活のやり方について解説していきます。
まずは、腸内環境を乱すものから距離を置くことが重要です。
方法1:抗生物質はできるだけ控える
抗生物質は、腸内環境を乱す大きな要因となっています。
よほどのことがない限り、抗生物質の使用は控えましょう。
腸内環境を整えるためには、腸内細菌の数ではなく種類が重要です。
つまり、腸内細菌の多様性(ダイバーシティ)が重要っていうわけです。
※ただ、ダイバーシティって言いたかっただけ♪
腸内細菌の多様性が低いと、ある菌の影響力が強くなりすぎて、その菌が作る代謝物(神経伝達物質やホルモン)が過剰となり悪影響を与えます。
腸内細菌の多様性が高ければ、菌の勢力図が拮抗して代謝物もバランスが保たれます。
すると、腸内細菌はいい塩梅(あんばい)で宿主である人に良い影響を与えるのです。
例えば、工業化されていないパプアニューギニア人の腸内細菌は、アメリカ人よりも多様性に富んでいます。
欧米人は、「炎症性腸疾患・自己免疫疾患・肥満・アレルギー・大腸がん」といった西洋病に苦しめられていますが、パプアニューギニア人にはこのような疾患は見られません。
※ただし、パプアニューギニア人は感染症による死亡率が高い。抗生物質はこのような感染症による命の危機に直面した場合に限り使うのが有効です。ただの風邪程度での使用は悪影響のほうが懸念されます。
参考:パプアニューギニア農村部の腸内細菌叢:組成、多様性パターン、および生態学的プロセスについて(2015年4月)
つまり、腸内細菌の多様性が、現代病である「炎症性腸疾患・自己免疫疾患・肥満・アレルギー・大腸がん」に疾患するか否かの鍵を握っているということです。
そして、抗生物質はこの腸内細菌の勢力図を簡単に書き換えてしまいます。
具体的に言うと、抗生物質による腸内の変化は、
- 腸内細菌を枯渇させる:抗生物質は、生命を脅かす細菌感染症の治療に不可欠で人の寿命を著しく伸ばすのに貢献している。しかし、副作用として人の健康を担っている善玉菌をも排除してしまうなど腸内環境のバランスを乱してしまう。
- 抗生物質に耐える腸内細菌の過剰繁殖:なかには抗生物質に耐える菌がいる。例として緑膿菌と呼ばれる毒素を分泌する悪玉菌があげられる。緑膿菌はエネルギーを作るミトコンドリアの機能を低下させることで宿主にダメージを与える。善玉菌が抗生物質によって排除され、悪玉菌の緑膿菌が残ることで腸内環境は乱れて宿主の体調を損なわせる。
- 抗生物質の腸への直接作用:抗生物質は腸内細菌に悪影響を与えることに注目が集まっているが、直接宿主のミトコンドリアに毒性を示すことが明らかになっている。ミトコンドリアがダメージを受けるとエネルギー産生に悪影響を及ぼし、人の体調を損なわせる。
の3点によって引き起こされます。
参考:トランスキングダム遺伝子ネットワークを用いた抗生物質の宿主および微生物叢への影響の解明(2015年11月)
抗生物質は、これらの働きによって腸内環境を乱してしまいます。
また、一度抗生物質によって失われた腸内細菌は二度と戻ってこないという恐ろしい話もあります。
参考:腸内細菌叢。私たちが知っていること、知らないこと(2015年12月)
よって、抗生物質の使用は慎重になったほうがよいでしょう。
※日本では、風邪をひいただけでも抗生物質が処方されることがありますので、使用する側が十分に注意する必要があります。
方法2:除菌殺菌グッズを使わない
除菌殺菌グッズとは、例えば殺菌剤の入った石鹸や歯磨き粉、消毒スプレーなどがあげられます。
これらの除菌グッズは、腸内細菌を変化させる能力を持っています。
下記の研究では、消毒剤の使用が3歳時の肥満度(BMI)を高めると報告しています。
参考:家庭用消毒剤は微生物を介した肥満物質か?(2018年9月)
背景
家庭用掃除用品と子どもの過体重の関係に、腸内細菌が関与している可能性が浮上してきた。
よって、我々は家庭用掃除用品と、子どもの過体重の関連における腸内細菌の媒介効果を明らかにした。
方法
母親が報告した掃除用品と3歳時の体重過多の関連、および3〜4ヶ月の糞便サンプルを用いて腸内細菌の状態を検証。
結果
757名の乳児において、特定の腸内細菌の豊富さは、消毒剤および環境に優しい製品の使用量に関係していた。
消毒剤の使用頻度が高くなるにつれて、ラクノスピラ科が増加し、ヘモフィルス属が減少した。
消毒剤の使用率上位30%は、3歳時の肥満度が高い傾向があるが、これはラクノスピラ科と関連していた。
腸内細菌科(大腸菌や赤痢菌)は、環境に優しい製品の使用が増えるにつれて順次減少した。
また、環境に優しい製品の使用は、腸内細菌とは無関係に肥満度が低い傾向にあった。
解釈
消毒剤は、腸内細菌を媒介として3歳時のBMIの高さと関連していた。
環境に優しい製品は、肥満度が低い傾向にあったが、これは腸内細菌とは別の経路があることが示唆される。
ラクノスピラ科は、食物繊維から短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸)を作る善玉菌だと思っていました。
しかし、よくよく調べると過剰なラクノスピラ科は糖尿病を引き起こす菌であることがわかりました。
で、過剰なラクノスピラ科は、白色脂肪細胞を増やしたり、インスリン抵抗性を引き起こして肥満につながります。
参考:慢性的な睡眠阻害が腸内細菌叢を変化させ、全身および脂肪組織における炎症とインスリン抵抗性を誘発することをマウスで確認(2016年10月)
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消毒により、悪玉菌を排除するまではいいのです。
しかし、悪玉菌がいなくなった結果、今度は善玉菌が過剰になりすぎて悪さをし始める。
以前、薬用石鹸には殺菌を目的としたトリクロサンやトリクロカルバンが入っているのがありました。
これらは、アレルギーや花粉症、筋肉の収縮性を弱めるなど筋肉への悪影響があるものでアメリカではこれらの成分が入った製品の販売を禁止しています。
参考:ニューヨーク州ブルックリンの都市住民におけるトリクロサンとトリクロカルバンのヒト胎児への曝露について(2014年7月)
※現在、日本の企業もこの話を受けてトリクロサン、トリクロカルバンの使用を控えているようです。ただし全ての企業が対応しきれているかどうかは不明なので、購入する際は成分表をチェックすることをオススメします。
そして、殺菌効果をうたっているにも関わらず、その効果が得られるには9時間も石鹸で手を洗い続けなければならないという残念な結果も出ています。
参考:抗菌石鹸は普通の石鹸と比較して、細菌汚染を減少させる効果はない(2015年9月)
以上のことから、腸内細菌のバランスを崩す除菌殺菌グッズの使用は避けた方がよいでしょう。
※昨今、コロナ騒ぎで消毒スプレーしまくってますが、かえって腸内細菌のバランスが偏り免疫機能が脆弱になっている可能性が考えられます。マスメディアが作るブームに流されず、しっかり知識をつけて身を守っていただきたいと願うばかりです。
石鹸は、こちらの無添加の石鹸をオススメします。
方法3:ファストフードなど欧米食は避ける
ファストフードなどの「高脂肪・砂糖・低繊維」である欧米食を食べると、腸内細菌の多様性が失われます。
下記の実験では、同じ遺伝子の系統を持つアフリカ系のアメリカ人と、アフリカ農村部の住人と2週間の食生活を交換したとのこと。
アフリカ系アメリカ人とアフリカ農村部における脂肪、食物繊維とがんリスク(2015年4月)
大腸癌の発生率は、南アフリカの農村部(10万分の5以下)よりもアフリカ系アメリカ人(10万分の65)の方がはるかに高い。
この高い発生率は、健康な中年ボランティアにおいて、動物性たんぱく質と脂肪の摂取が多いこと、繊維の摂取が少ないこと、大腸二次胆汁酸が多いこと、大腸短鎖脂肪酸量が少ないこと、粘膜増殖性のがんリスクバイオマーカーが多いことと関連していた。
アフリカ系アメリカ人には高繊維・低脂肪のアフリカ式食事、アフリカの農村部には高脂肪・低繊維の西洋式食事を、厳重な監視のもと、同じ集団の被験者で2週間の食物交換を行った。
通常の食事と比較して、食物の変化は、がんリスクの粘膜バイオマーカー、がんリスクに影響することが知られている微生物叢とメタボロームの側面において顕著な相互変化をもたらした。
それは、アフリカ系アメリカ人における糖類分解発酵と酪酸生成の増加、二次胆汁酸合成の抑制が最もよく示している。
結果、アフリカ農村部の住人は悪玉菌が増え、アフリカ系アメリカ人は善玉菌が増えることとなりました。
また、炎症レベルも「高脂肪・低繊維」食を与えられたアフリカ農村部の住人で増加したとのことです。
なぜ、「高脂肪・低繊維」の欧米食は、炎症レベルが増加するのか?
それは、欧米食は腸のバリアを破壊するからです。
解説すると、ファストフードなどの欧米食は食物繊維が少なすぎて、腸内細菌による短鎖脂肪酸(酢酸・酪酸・プロピオン酸)の生産量が少なくなってしまいます。
短鎖脂肪酸は、腸の粘膜を作る腸管上皮細胞の増殖を促す働きを持っていますから、
- 食物繊維の少ない欧米食は、短鎖脂肪酸が減る
- 短鎖脂肪酸が減るから、腸管上皮細胞は増えない
- 腸管上皮細胞が増えなくて腸の粘膜が足りなくなる
- 腸粘膜に隙間が生まれる=腸のバリアを破壊
といった流れで、腸のバリアが破壊されます。
で、腸のバリアが壊れることをリーキーガットと言います。
すると、悪玉菌が作るリポ多糖(LPS)が、腸のバリアの隙間から血液に侵入し全身に回り始めます。
リポ多糖(LPS)は、病原因子である内毒素(エンドトキシン)として知られており、免疫反応を過剰にすることで炎症を引き起こします。
この状態が長く続くと、慢性炎症となり、
- 高血圧→動脈硬化→心筋梗塞・脳梗塞
- 脂質異常症→動脈硬化→心筋梗塞・脳梗塞
- 糖尿病
- 肝疾患
- がん
- 認知症
- うつ
- ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患
- 関節リウマチなどの自己免疫疾患
につながってしまいます。
参考:肥満と食中毒における脳-腸-マイクロバイオーム相互作用(2020年11月)
よって、ファストフードなどの欧米食は腸のバリアを破壊(リーキーガット)し、腸内環境をボロボロにしてしまうので避けた方がよいでしょう。
方法4:食品添加物、人工甘味料はできるだけ控える
現在、「保存料・甘味料・着色料・香料」などの食品添加物や人工甘味料の使用は、安全性があるものとして国により使用が認められています。
しかし、これらの食品添加物による腸内細菌への影響についてはまだ賛否がわかれているところです。
例えば、ある研究ではパンやケーキ、アイスクリームの品質を安定化させる乳化剤は、腸内細菌の炎症能力を増大させ、大腸がんを促進させる可能性があると報告しています。
一方、乳化剤の1つであるレシチンは、腸の粘膜バリアを改善することから、炎症性腸疾患(IBD)の治療薬としても提案されています。
参考:欧米型食生活-微生物-宿主の相互作用とその代謝疾患への関与(2018年3月)
そして、人工甘味料のアスパルテームを8週間以上摂取したラットは、血糖値が上昇しインスリン抵抗性が発症したとする報告があがっております。
参考:人工甘味料は2つのモデル腸内細菌、E. coliとE. faecalisの病原性特性を負に制御する(2021年5月)
しかし、一方ではアスパルテームは小腸で速やかに水に分解され、大腸に住む腸内細菌に影響を及ぼすことは考えにくいとする論文もあります。
参考:低カロリーおよびノンカロリーの甘味料と腸内細菌叢の生物学的相互作用の可能性。最近の研究のアップデート(2020年4月)
両者とも問題があると言ったり、問題ないと言ったり、さらに健康効果があると言ったり、なかなかのカオスっぷり。
ハッキリ言って、食品添加物と人工甘味料は、体にとって良いのか悪いのか判断つかない状態です。
※とはいえ、悪い結果があるのは事実なので慎重になったほうがよいでしょう。
そして、これら食品添加物や人工甘味料の使用は、使用における承認プロセスにおいて腸内細菌へのリスクは評価されていないのが現状。
※現在市場に出回っている食品添加物のほとんどが1970年代〜80年代に承認されたもので、まだこの頃は腸内細菌についての知見はあまりありませんでした。
※食品添加物が腸のホメオスタシスに与える影響(2019年10月)
食品添加物と人工甘味料の腸内細菌への影響については、現在進行形で研究が進んでいます。
僕が論文を読んで感じたのは、「やっぱダメでしたと言われる可能性」です。
この直感は、良しとする論文が人工甘味料の印象を良くしようとする意図を感じたからです。
※現状、人工甘味料はダイエット食品やプロテインなど多岐にわたり使用されています。大企業がからむと資金力によって真実が捻じ曲げられる危険はあるので、疑ってかかったほうが良いでしょう。参考:本当に危ない人工甘味料(その1)
よって、食品添加物、人工甘味料が含まれている商品はできるだけ控えておいたほうが無難でしょう。
方法5:ストレスをためない
そして、ストレスをためないことも重要です。
腸内細菌はストレスの影響をもろに受けます。
下記の研究では、社会的混乱(SDR)を与えたマウスの腸内細菌は、悪玉菌が優勢になったと報告しています。
参考:社会的ストレス要因への曝露が腸内細菌叢の構造を変化させる:ストレス要因による免疫調節への示唆(2011年5月)
当研究室の研究により、ストレス要因にさらされると微生物叢の安定性に影響を及ぼし、細菌の移動が起こることが明らかになった。
しかし、これらの変化の生物学的重要性はよく分かっていない。
そこで、マイクロバイオームがストレス要因による免疫増強に寄与しているかどうかを調べるため、マウスを社会的混乱(SDR)と呼ばれる社会的ストレス要因に曝露した。
ストレス要因への曝露は、特にストレス要因曝露直後に微生物相を評価した場合、微生物相の群集構造を著しく変化させた。
最も顕著なのは、ストレッサー曝露により、バクテロイデス属の細菌の相対量が減少し、クロストリジウム属の細菌の相対量が増加したことである。
※バクテロイデスは「痩せ菌」と呼ばれ、クロストリジウムは悪玉菌が多い傾向にあります。
また、ストレス因子によってIL-6とMCP-1の循環レベルが上昇し、3つの細菌属(すなわち、Coprococcus、Pseudobutyrivibrio、Dorea)のストレス因子による変化と有意に相関していた。
これらのデータは、SDR(社会的混乱)への曝露が腸内の細菌集団に有意な影響を与えることを示しており、また、驚くべきことに、微生物叢がストレス要因による循環サイトカインの増加に必要であることを示唆している。
また、この論文では社会的混乱(SDR)を与えられたマウスは、腸内細菌の多様性が失われていたとのことです。
そして、腸内細菌の変化によって、「IL-6(インターロイキン-6)」と「MCP-1(エムシーピーワン)」などの炎症性サイトカインが増加しています。
炎症性サイトカインとは、炎症反応を引き起こす物質です。
炎症は、インスリン抵抗性を引き起こし肥満につながります。
また、「動脈硬化、糖尿病、がん、認知症、うつ、アトピー」も炎症が原因です。
よって、ストレスをためないことが重要です。
※ストレスをためない方法は別途、記事にする予定です。
方法6:睡眠不足は腸内環境に害を及ぼすので控える
最後に、睡眠不足は腸内環境に害を与えます。
腸内細菌は、人と同様に概日リズムを刻んでいます。
腸活すると痩せるのは、NFIL3という時計遺伝子を腸内細菌が調節することで、宿主の体内時計を調節し、脂肪の吸収と排出を適切にするからです。
腸活するとなぜ痩せることができるの? こんにちは、おっちーです(^^)腸活すると痩せるってよく聞きますよね? で、ネットで「腸活 ダイエット」って調べてみたのですが、、、残[…]
そして、睡眠不足による不規則な生活は概日リズムを崩し、腸内細菌へ悪影響を与えてしまいます。
睡眠不足は、腸内細菌の多様性を低下させることがわかっています。
参考:自己申告による睡眠の質は、若年健康者の腸内細菌叢の構成と関連する:パイロットスタディ(2020年4月)
参考:精神疾患における睡眠とマイクロバイオーム(2020年7月)
具体的な事象として、マウスに睡眠障害を与えると下記の症状が起こりました。
- マウスは概日リズムが消失し、ファーミキューテス門(デブ菌)の増加、バクテロイデス門(痩せ菌)が減少した。※「デブ菌」「痩せ菌」の概念は細かく詰めると正しくありませんが、ここではわかりやすくするために用いています。
- 腸のバリアが壊れる「リーキーガット」が引き起こされ、LPS(リポ多糖)が血液に流れて血中のLPS濃度が上昇した。※LPSとは、内毒素(エンドトキシン)であり慢性炎症を引き起こします。
- LPSはIL-6(インターロイキン-6)などの炎症性サイトカインの血中濃度を高め、インスリン抵抗性の増悪(ぞうあく)が認められた。※インスリン抵抗性とは、インスリンが効きにくい状態で血中の糖の取り込みがされず肥満や糖尿病につながります。増悪とはますます悪くなるということ。
ちなみにこれらのことは、人に対しても同様な現象が見られます。
睡眠不足は厄介なリーキーガット(腸バリアの破壊)を引き起こすします。
リーキーガットによるLPSの血液への流出は炎症を引き起こし、最終的に「動脈硬化、糖尿病、がん、認知症、うつ、アトピー」など多岐にわたる病気につながります。
このことから、睡眠不足は腸内細菌に害を及ぼすので控えることをオススメします。
しかし、そんなこといっても「なかなか寝つくことができない」とおっしゃるかもしれません。
この場合、もしかしたら腸内環境が乱れているのかもしれません。
腸内細菌が乱れると、宿主である人の睡眠を障害することがわかっています。
また、腸内環境を整えるプロバイオティクスは睡眠の質を上げることもわかっています。
これは、次回以降の記事「腸内環境を整える具体的な方法8選!」で詳しく解説します。
※現在、鋭意執筆中ですのでしばらくお待ちください。m(_ _)m
以上、自分の腸内環境の状態を知るための兆候4つと、腸内環境を乱さないための6つの方法を見てきました。
もし、この中から兆候が1つでもあれば、「腸内環境を乱さないための方法6選!」を試してみてください。
そして、次回以降にご紹介する「腸内環境を整える方法8選!」を実施していただければ、あなたの腸内環境は整うことでしょう!(๑•̀ㅂ•́)و✧
まとめ
最後にもう一度内容を確認しましょう。
- 腸活を始める際は、まず4つの兆候をチェックし自分の腸内環境の状態を知る
- 兆候1:便の形状がバナナやソーセージ、色は黄色〜茶色、毎日便が出れば問題なし。これ以外であれば腸活が必要
- 兆候2:ニキビ・肌荒れがある場合は、腸内環境が乱れて免疫機能が低下し炎症が起こっている可能性があるので腸活が必要
- 兆候3:甘いものやジャンクフードを欲するのは、腸内細菌が作る代謝物(神経伝達物質、ホルモン)の調節がうまくいっていないことが考えられるため腸活が必要
- 兆候4:メンタルが悪化している場合は、腸内細菌によるセロトニンが抽出されず、感情のコントロールがうまくいかないことで起こるため腸活が必要
- 次に「腸内環境を乱さないための方法6選!」を実施する
- 方法1:抗生物質は、腸内環境の勢力図を簡単に書き換えてバランスを崩す、失われた腸内細菌は二度と戻ってこない可能性があるのでできるだけ控える
- 方法2:除菌殺菌グッズは、腸内細菌を変化させる能力をもっており、3歳時の肥満度を高めるとした研究もあることから使わないようにする
- 方法3:ファストフードなどの「高脂肪・砂糖・低繊維」である欧米食は腸内細菌が作る短鎖脂肪酸を減少させ、腸のバリアを破壊(リーキーガット)し炎症を引き起こすので避ける
- 方法4:食品添加物、人工甘味料は、ハッキリしないものの腸内細菌の炎症能力を増大させる可能性があるため、できるだけ控える
- 方法5:ストレスは腸内細菌の多様性を失わせ、炎症を引き起こす炎症性サイトカインが増加するため、ストレスをためないようにする
- 方法6:睡眠不足による不規則な生活は、概日リズムを崩し腸内細菌の多様性を低下させるため控える
今回の記事で、
”自分の腸内環境の状態を知る方法がわかり、さらに腸内環境を乱さないための方法を手に入れる”
ことができたのではないでしょうか。
腸内環境を整える方法はまだあります。
それは次回以降、「腸内環境を整えるにはこれを読めばOK!誰でもできるう腸活14選【中編】【後編】」でご紹介します。
これらを実行すれば、あなたの腸内環境は整うことでしょう。
今回のお話は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
それではまた♪