人工甘味料は糖尿病のリスクがあるの?
こんにちは、おっちーです(^^)
前回に続き、人工甘味料のリスクについてのお話です。
人工甘味料は腸内環境を悪化させるの? こんにちは、おっちーです(^^)前回に続き、人工甘味料のお話です。[sitecard subtitle=ダイエット学 url=https://otchidiet[…]
人工甘味料は、
- ダイエット・コーラなどの炭酸飲料
- ココアやカフェオレの粉末飲料
- サワー系のお酒
- ノンシュガーチョコレート
- のど飴
- ガム
- ゼリー
- ヨーグルト
- プロテイン
など、さまざまな商品に使われています。
現状、人工甘味料の安全性は、厚生労働省、FDA(米国食品医薬品局)、EFSA(欧州食品安全機関)など、さまざまな国の公衆衛生機関によって担保されています。
しかし、昨今は「人工甘味料は糖尿病のリスクがあるのではないか?」と疑われています。
えーっ!マジ!?(@_@;)
本来、人工甘味料は砂糖と比べてカロリーがほぼゼロであることから肥満を防ぎ、糖尿病のリスクを下げるとされてきました。
それが、なぜ糖尿病のリスクがあるということになるのでしょう?
そこで、今回のテーマは人工甘味料は糖尿病のリスクを上げるのか?問題について掘り下げて調べたいと思います。
この「人工甘味料は糖尿病のリスクを上げるのか?問題」をハッキリさせるために、論文を6本熟読しました。
徹底的にインプットしたので記事の質には自信があります!
この記事では、
- 人工甘味料が糖尿病を防ぐとする基本のお話
- なぜ人工甘味料は糖尿病のリスクになるのか?
- 人工甘味料で本当に糖尿病になるのか?実際の研究事例
につにて詳しく解説しています。
これを読めば、あなたは人工甘味料は糖尿病のリスクになるのか?本当のところがわかるでしょう。
それではいってみましょう!(๑•̀ㅂ•́)و✧
人工甘味料が糖尿病のリスク?
人工甘味料は糖尿病のリスクになるのでしょうか?
結論は、
”人工甘味料は糖尿病のリスクの根拠はあるが可能性は低い”
です。
論文を読み込むと、たしかに人工甘味料は糖尿病のリスクがあるという記述があります。
その根拠となるのが、
- 甘いものへの欲が高まって太る
- 腸内細菌が乱れて太る
の2点で、肥満が糖尿病につながるという理由です。
しかし、6本の論文を熟読し総合的に見た結果、人工甘味料の糖尿病のリスクは可能性が低いとの結論にいたりました。
詳しく解説していきます。
人工甘味料が糖尿病を防ぐとする基本のお話
人工甘味料は、砂糖から置き換えることで糖尿病のリスクを低下させることが期待されているのが基本的な考え方です。
代表的な人工甘味料として、
- アスパルテーム
- アセスルファムカリウム
- スクラロース
- サッカリン
があげられます。
アスパルテームやアセスルファムカリウム、サッカリンは砂糖の200倍の甘みを持ち、スクラロースは600倍の甘みを持ちます。
そして、カロリーは砂糖に比べてほぼゼロであり、その優れた甘味と低エネルギーの特性から砂糖の置き換え食品として人気が高まりました。
人工甘味料の優れた点は、
- カロリーがほぼゼロ
- 血糖値を上昇させない
- 砂糖のように中毒や依存症にならず過食を防ぐ
ことがあげられます。
糖尿病になる原因は、
- インスリンが足りない
- インスリンが効かない
のどちらかです。
人は食事で糖質を取ると、
- 血液中の糖が上昇(血糖値の上昇)
- 膵臓からインスリンが分泌
- インスリンが筋肉や肝臓、脂肪細胞など各臓器の細胞に糖を取り込む
- 細胞に糖が取り込まれることで血糖値が下がる
- 細胞に取り込まれた糖はエネルギーに変換される
といった流れでエネルギーを獲得しています。
※糖=グルコース(ブドウ糖)
上記の①〜⑤の流れを糖代謝と呼びます。
人は、糖代謝によりエネルギーが得られるから生きていけるのです。
※エネルギー=ATP(アデノシン三リン酸)
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糖尿病とは、この糖代謝に異常が見られる病気のことです。
そして、砂糖が糖尿病になる原因は、
- カロリーが高いため肥満となる:カロリーが高いと、オーバーカロリーとなり肥満になる(なぜ太る?基本的な肥満のメカニズム)
- 血糖値が上昇するため肥満となる:血液中の糖質(血糖)は、インスリンによって筋肉や肝臓でグリコーゲンとして貯蔵される。しかし、グリコーゲンを超えるほど血糖値が上昇すると、余った血糖はインスリンによって脂肪として蓄積され肥満になる
- 脳の報酬系が刺激され中毒を誘発し過食するため肥満となる:報酬系が刺激されると、ドーパミンが分泌され快楽を覚える。砂糖の甘味は報酬系を刺激する。快楽を得たいが過ぎると麻薬と同様に中毒症状が引き起こされる。すると砂糖中毒となって食べすぎてしまい肥満になる
の3点です。
ポイントは、肥満です。
なぜ、肥満になると糖尿病になるのか?
それは、肥満になると内臓脂肪が増えてインスリンの効きが悪くなるからです。
※インスリンの効きが悪くなることをインスリン抵抗性と呼びます。
では、なぜ内臓脂肪が増えるとインスリンの効きが悪くなるのか?
その鍵を握るのがアディポサイトカインです。
アディポサイトカインとは、脂肪細胞から分泌されるサイトカイン(生理活性物質)のことで、レプチン、アディポネクチン、TNF-α、ビスファチン、etcがあります。
※ちなみにレプチンは痩せホルモンのことで体重のセットポイントに関わります。セットポイントと体重の関係?自動で痩せる仕組みを整えるには?
この中でインスリンに関わるのが、
- アディポネクチン:インスリンの効きを良くしたり、TNF-αの分泌を抑制する
- TNF-α:炎症性のサイトカイン(生理活性物質)で、体内の異物を攻撃して炎症を引き起こす。また、インスリン受容体の作用を阻害してインスリンの働きを弱める
- ビスファチン:内臓脂肪の蓄積を促すとともにインスリンの働きを弱める
です。
肥満により、内臓脂肪が増えるとアディポネクチンが減少し、TNF-αとビスファチンが増加することでインスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性)のです。
なぜ、砂糖が糖尿病になるのか?
まとめると、下記の流れとなります。
- 砂糖の過剰摂取は、カロリーオーバーや血糖値の上昇で余った糖が脂肪になることで肥満を招く
- 肥満になると内臓脂肪が増える
- 内臓脂肪が増えると、善玉のアディポサイトカインであるアディポネクチンが減少し、悪玉のアディポサイトカインであるTNF-αやビスファチンが増加する
- 善玉のアディポサイトカインであるアディポネクチンが減少するとインスリンの働きは悪くなる
- 悪玉のアディポサイトカインであるTNF-αとビスファチンが増加するとインスリンの働きは弱まる
- 結果、インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性)
- インスリンの効きが悪くなるため、いつまでも血糖値が下がらない(糖尿病)
砂糖が糖尿病になるのは、
- 肥満によってインスリンが効かなくなる
からです。
そして、人工甘味料は砂糖から置き換えることで肥満を予防します。
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このことから、米国糖尿病学会と米国心臓病学会は共同で人工甘味料に関する声明を発表し、
”砂糖の代わりに人工甘味料を使用することで肥満・糖尿病の予防や治療に有用な可能性がある”
と提言しています。
参考:非栄養性甘味料:現在の使用状況と健康への展望:米国心臓協会と米国糖尿病協会からの科学的声明(2012年8月)
人工甘味料で本当に糖尿病になるの?実際の研究結果でチェック!
人工甘味料は、
- カロリーがほぼゼロ
- 血糖値が上昇しない
- 砂糖のように中毒や依存症にならず過食を防ぐ
ことにより肥満を防ぎ糖尿病を予防すると考えられます。
しかし、人工甘味料は糖尿病のリスクが疑われています。
なぜ、人工甘味料が糖尿病のリスクになるのか?
今までは、人工甘味料はカロリーがほぼゼロであるため、これに過信し安心することで、他のものを余分に食べすぎてしまうという心理的な理由があげられていました。
しかし、最近は心理的な理由でなくメカニズムが説明されるようになりました。
ここでは、人工甘味料が糖尿病のリスクになる理由と、実際の研究結果(メタアナリシス)を見て、本当にリスクなのかどうかを検証していきたいと思います。
※メタアナリシスとは、いくつもの研究をひとまとめにして精査し結論を導くもので、その結果は非常に信頼性の高いものとなっています。
人工甘味料が糖尿病のリスクになる理由
糖尿病になる原因の一つに肥満が上げられます。
人工甘味料が肥満につながる原因についてはすでに解説しております。
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この記事から人工甘味料が太る理由をピックアップすると、
- 甘いものへの欲が高まって太る
- 腸内細菌が乱れて太る
の2点です。
※「ホルモンが作用して太る」は、根拠が弱いため除外しています。
軽くおさらいします。
甘いものへの欲が高まって太る
砂糖の甘味は、脳の報酬系を刺激しドーパミンが分泌されることで快楽が得られます。
「甘いものがやめられないとまらない」は、もっと快楽を欲するがために引き起こされる依存症状です。
甘いものへの依存は過食となり肥満につながります。
一方、快楽が得られすぎないのも問題。
人工甘味料は、脳の報酬系を刺激しません。
脳の報酬系が刺激されないと、快楽は得られず満足できません。
すると、満足を得たいがために逆に甘いものへの欲求が高まる。
よって、人工甘味料は甘いものへの渇望感を生み、過食に走らせ太る可能性があります。
腸内細菌が乱れて太る
腸内細菌が乱れると肥満につながります。
腸内細菌は「①食の好みを変える、②食行動に影響を与える、③食欲に影響する」といった脳に働きかけて肥満につながることも。
また、腸内細菌のバランスが乱れると体内時計が狂い肥満につながる可能性もあります。
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さらに、バクテロイデスとアネロスタイプという腸内細菌が増えると、エネルギー採取能力(カロリーを得る能力)が高まり肥満につながり耐糖能が低下することがマウスを使った研究で判明しています。
※耐糖能とは、血糖値を正常値に戻す能力のことです。
参考:人工甘味料アセスルファムカリウムがCD-1マウスの腸内細菌叢と体重増加に影響を及ぼすこと(2017年7月)
これらのことより、人工甘味料は腸内細菌が乱れて太る可能性があります。
以上、「甘いものへの欲が高まって太る、腸内細菌が乱れて太る」をおさらいしました。
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人工甘味料で糖尿病になるのか?メタアナリシスを見て結論を導き出す
では、実際に人工甘味料は糖尿病になるのか?メタアナリシスを見て結論を導き出したいと思います。
メタアナリシスとは、いくつもの研究をひとまとめにして精査し結論を導くもので、その結果は非常信頼性の高いものとなっています。
メタアナリシスはEBMにおいて、最高峰に位置する研究成果です。
※EBM(Evidence-Based Medeicine:根拠に基づく医療)とは、十分に実施された医療研究で得られた証拠を採用することで、医師1人1人の意思決定を最大限に高めるためのもの。
下記のメタアナリシスでは、人工甘味料の摂取は食後のグルコース(血糖値)とインスリン反応に影響を与えないと結論を出しています。
参考:低エネルギー甘味料の急性血糖およびインスリン血症効果:無作為化対照試験の系統的レビューとメタ解析(2020年10月)
【背景】
人工甘味料(LES)は、グルコース応答性メカニズムを刺激することにより、代謝性疾患のリスクを増加させる可能性が示唆されている。
【目的】
我々は、これらの関係を包括的かつ客観的に定量化するために、食後グルコース(PPG)および食後インスリン(PPI)反応に対するLES摂取の急性影響を検討したヒト介入研究の系統的レビューとメタ解析を実施した。
【結果】
26の論文(34のPPG試験と29のPPI試験)が含まれた。
LESのPPGおよびPPI反応に対する効果は、対照的な介入と比較して、統計的に有意な差があるとの報告はなかった。
PPGとPPIの平均変化差に対するLES摂取のプール効果は、それぞれ-0.02 mmol/L(95% CI: -0.09, 0.05)および-2.39 pmol/L(95% CI: -11.83, 7.05)であった。
この結果は、摂取したLESの種類や量、併用療法の種類、空腹時血糖値やインスリン値による有意な差は認められなかった。
2型糖尿病患者では、平均変化量の差は、対照と比較して、LESに曝露した後のPPG反応が小さいことを示した(-0.3 mmol/L; 95% CI: -0.53, -0.07).
【結論】
人工甘味料(LES)の摂取は、単独または栄養前投与との併用で、コントロールと比較して食後血糖値およびインスリン反応に急性影響を及ぼさない。
2型糖尿病患者を登録した研究では、食後グルコース(PPG)に対するわずかな有益な効果(-0.3mmol/L)を除いて、効果はLESの種類や用量、空腹時血糖値やインスリン値による差はなかった。
このメタアナリシスでは、34件の食後のグルコースと29件の食後のインスリン反応を含めた26件の論文を精査しています。
総勢452名の参加者が含まれており、そのうち34件がランダム化比較試験です。
※ランダム化比較試験とは、研究の対象者を2つ以上のグループにランダムに分け効果を検証する試験です。根拠に基づく医療(EBM)において、このランダム化比較試験は根拠(エビデンス)の質がメタアナリシスの次に高いとされています。
で、結果は人工甘味料は食後のグルコース(血糖値)とインスリン反応に影響を与えないとのこと。
糖尿病は血糖値が上昇したままであったり、インスリンの効きが悪くなることで引き起こされます。
このメタアナリシスでは、人工甘味料は糖尿病のリスクがないとの結論です。
そして、2018年7月のメタアナリシスでも同様な結論を出しています。
参考:非栄養性甘味料の血糖値への影響:無作為化対照試験のシステマティックレビューとメタアナリシス(2018年7月)
さらに、専門家によるディスカッションでも人工甘味料は血糖値およびインスリン調節に悪影響を与えないとのコンセンサスが得られています。
参考:低カロリー甘味料に関する専門家のコンセンサス:事実、研究ギャップ、提案された行動(2020年6月)
これらのことから、人工甘味料は糖尿病のリスクは低いということです。
以上、人工甘味料は糖尿病のリスクなのか問題について見てきました。
たしかに人工甘味料は、
- 甘いものへの欲が高まって太る
- 腸内細菌が乱れて太る
可能性があります。
肥満は糖尿病の原因です。
しかし、人工甘味料は砂糖からの置き換えであれば肥満になることはなく、むしろ痩せることがわかっています。
人工甘味料は太るの?太らないの? こんにちは、おっちーです(^^) 糖質オフ!カロリーゼロ!!ダイエット食品に並ぶパワーワード。 これらの言葉を支えている[…]
人工甘味料は、
- カロリーがほぼゼロ
- 血糖値を上昇させない
- 砂糖のように中毒や依存症にならず過食を防ぐ
といった優れた点も見逃せません。
よって、
”人工甘味料は糖尿病のリスクの根拠はあるが可能性は低い”
という結論にいたりました。
まとめ
最後にもう一度内容を確認しましょう。
- 糖尿病になる原因は「①インスリンが足りない、②インスリンが効かない」の2種類
- 人が生きるためにエネルギーを獲得できるのは、糖代謝と呼ばれるインスリンが糖質を各細胞に取り込み糖(グルコース)をエネルギーに変換するから
- 糖尿病とは、この糖代謝に異常が見られること
- 特に肥満は、アディポサイトカイン(脂肪細胞が分泌する生理活性物質)が乱れることで「②インスリンが効かない(インスリン抵抗性)」となり糖尿病になる
- 人工甘味料は、「①甘いものへの欲が高まって太る、②腸内細菌が乱れて太る」ことで肥満につながり糖尿病のリスクが高まると言われている
- しかし、各研究を統合して精査したメタアナリシスでは、人工甘味料は糖尿病のリスクはないとの結論が出ている
- よって、人工甘味料は糖尿病のリスクの根拠はあるが可能性は低い
いかがでしたでしょうか?
人工甘味料の危険性が疑われておりますが、糖尿病のリスクに関しては白といってよいのではないでしょうか。
糖尿病の人がどうしても「甘いものがほしい!となった場合、人工甘味料を選択するのはアリかと思います。
今回の記事で、人工甘味料は糖尿病のリスクになるのか?本当のところをご理解いただけたかと思います。
今回のお話は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
それではまた♪