人工甘味料は腸内環境を悪化させるの?
こんにちは、おっちーです(^^)
前回に続き、人工甘味料のお話です。
人工甘味料は太るの?太らないの? こんにちは、おっちーです(^^) 糖質オフ!カロリーゼロ!!ダイエット食品に並ぶパワーワード。 これらの言葉を支えている[…]
人工甘味料は、
- ダイエット・コーラなどの炭酸飲料
- ココアやカフェオレの粉末飲料
- サワー系のお酒
- ノンシュガーチョコレート
- のど飴
- ガム
- ゼリー
- ヨーグルト
- プロテイン
など、さまざまな商品に使われています。
現状、人工甘味料の安全性は、厚生労働省、FDA(米国食品医薬品局)、EFSA(欧州食品安全機関)など、さまざまな国の公衆衛生機関によって担保されています。
しかし、昨今は人工甘味料に対するリスクが疑われています。
その一つが、「人工甘味料は腸内環境を悪化させるリスクがあるのではないか?」という問題。
腸内環境が悪化すると、
- 便秘や下痢などお腹の調子が悪くなる
- 免疫機能が低下し風邪をひきやすくなったり、アレルギーにつながる
- 慢性炎症を引き起こし、老化や「糖尿病、心筋梗塞・脳卒中、がん」などの生活習慣病につながる
- うつなどメンタルがやられる
- 太る
といった問題につながってしまいます。
よって、腸内環境の悪化は避けたいもの。
そこで、今回のテーマは人工甘味料は腸内環境を悪化させるのか?問題について深く考察していきたいと思います。
この「人工甘味料は腸内環境を悪化させるのか?問題」をハッキリさせるために、論文を11本熟読しました。
徹底的にインプットしたので記事の質には自信があります!
この記事では、
- 人工甘味料が腸内環境を悪化させる理由について
- 人工甘味料は本当に腸内環境を悪化させるのか?実際の研究事例
について詳しく解説しています。
これを読めば、あなたは人工甘味料は腸内環境を悪化させるのか?本当のところがわかるでしょう。
それではいってみましょう!(๑•̀ㅂ•́)و✧
人工甘味料が腸内環境を悪化させる?
人工甘味料は腸内環境を悪化させるのでしょうか?
結論から申し上げると、
”人工甘味料は腸内環境を悪化させる可能性は高いが確定ではない”
です。
腸内環境が悪化すると、
- 便秘や下痢などお腹の調子が悪くなる
- 免疫機能が低下し風邪をひきやすくなったり、アレルギーにつながる
- 慢性炎症を引き起こし、老化や「糖尿病、心筋梗塞・脳卒中、がん」などの生活習慣病につながる
- うつなどメンタルがやられる
- 太る
といった可能性があります。
人工甘味料の使用は、慎重になったほうが良さそうです。
なぜなら、マウスによる研究では人工甘味料は腸内細菌のバランスを乱すとの結果が一貫して示されているからです。
しかし、人による試験では結果にばらつきがあり、なんとも言えない状況。
よって、人工甘味料が腸内環境を悪化させる可能性があるものの確定していないというのが現状です。
詳しく解説していきます。
人工甘味料が腸内環境を悪化させる理由
まず、人工甘味料が腸内環境を悪化させる理由について解説していきます。
代表的な人工甘味料には、
- アスパルテーム
- アセスルファムカリウム
- スクラロース
- サッカリン
があげられます。
このなかで腸内環境を悪化させるのが、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリンです。
アスパルテーム
アスパルテームは、腸内環境を悪化させる可能性は極めて低いでしょう。
アスパルテームは、胃と腸で酵素によって「メタノール、アスパラギン酸(アミノ酸)、フェニルアラニン(アミノ酸)」に分解されます。
メタノール、アスパラギン酸、フェニルアラニンは小腸で吸収され大腸に届くことはありません。
腸内細菌は大腸に生息しています。
よって、大腸に届くことのないアスパルテームやその代謝物は、腸内細菌に影響する可能性は極めて低いと考えられます。
参考:低カロリーおよびノンカロリーの甘味料と腸内細菌叢の生物学的相互作用の可能性。最近の研究のアップデート(2020年4月)
ただし、アスパルテームが腸内細菌を変化させたとする報告も上がっているので、可能性はゼロではありません。
参考:低用量アスパルテーム摂取は食事誘発性肥満ラットの腸内細菌-宿主代謝相互作用に異なる影響を与える(2014年10月)
アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン
アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリンは大腸に到達します。
これらの人工甘味料には静菌作用があると言われています。
静菌作用とは、細菌の発育や増殖を抑制する作用のことで、腸内細菌の豊かさを阻害するという意味です。
腸内細菌の豊かさが阻害されてしまうと、腸内細菌の多様性が失われ腸内環境のバランスが崩れます。
腸内環境は、腸内細菌の多様性によって健康が保たれています。
※腸内環境が腸内細菌の多様性に支えられていることを腸内フローラと呼びます。
ところが、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリンは、腸内細菌の大腸菌を減少させることがわかっており、腸内細菌の多様性が失われることになる。
参考:非栄養性甘味料の静菌作用とマウスの腸内細菌叢の変化(2018年7月)
大腸菌は、一部に病原性を持つものが存在しますが、大半は無害です。
無害な大腸菌は、ビタミンK(止血に関わる)を生成したり、腸内の病原菌が増殖するのを防ぐといった働きをしてくれます。
以上のことから、
”人工甘味料は、静菌作用により腸内細菌の多様性を失わせ腸内環境を悪化さる”
ということになります。
人工甘味料は腸内環境を悪化させるのか?実際の研究事例
人工甘味料の静菌作用によって腸内細菌の多様性が失われ、腸内環境が悪化することがわかりました。
しかし、腸内細菌はそれほどやわじゃないのも事実。
腸内細菌は日々変化しており、とても柔軟性があります。
多少ダメージを受けてもすぐに回復する能力を持っています。
人によっては、人工甘味料による腸内細菌のダメージは小さいこともありえます。
では、実際に人工甘味料は腸内環境を悪化させるのでしょうか?
具体的に研究事例を見ていきましょう。
人工甘味料が腸内環境を悪化させるとするマウスの研究
マウスによる研究では、人工甘味料が腸内環境を悪化させるとの報告が相次いでいます。
参考:低用量アスパルテーム摂取は食事誘発性肥満ラットの腸内細菌-宿主代謝相互作用に異なる影響を与える(2014年10月)
参考:人工甘味料アセスルファムカリウムがCD-1マウスの腸内細菌叢と体重増加に影響を及ぼすこと(2017年7月)
参考:スクラロースに対する腸内細菌群の反応とマウスにおける肝炎誘発の役割の可能性(2017年7月)
参考:サッカリンは腸内細菌叢とその代謝機能を変化させることにより、マウスの肝炎を誘発する(2017年9月)
一つ例にあげると、以下のような感じです。
参考:人工甘味料アセスルファムカリウムがCD-1マウスの腸内細菌叢と体重増加に影響を及ぼすこと(2017年7月)
人工甘味料は現代の食生活に広く使用されているが、ヒトの健康に対するその影響は一貫しておらず、有益な結果と有害な結果の両方が報告されている。
肥満と2型糖尿病は、過去20年間に米国やその他の国々で劇的に増加している。
数多くの研究により、体重のコントロールやグルコースの代謝および調節において腸内細菌が重要な役割を担っていることが示されている。
興味深いことに、人工甘味料のサッカリンは腸内細菌叢を変化させ、耐糖能異常を誘発する可能性があり、肥満と糖尿病の世界的流行に対する人工甘味料の貢献について疑問を投げかけている。
アセスルファムカリウム(Ace-K)はFDA(米国食品医薬品局)に認可された人工甘味料で、一般的に使用されているが、これまでに報告された毒性データは不十分であると考えられている。
特に、Ace-Kが腸内細菌叢に与える機能的な影響についてはほとんど分かっていない。
本研究では、Ace-Kの腸内細菌叢への影響および糞便中の代謝プロファイルの変化について検討した。
その結果、Ace-Kの摂取により、4週間の投与でCD-1マウスの腸内細菌叢が擾乱されることが判明した。
観察された体重増加、腸内細菌群集組成のシフト、エネルギー代謝に関連する機能性細菌遺伝子の濃縮、および糞便中のメタボローム変化は、雄と雌で差のある効果が観察され、性別に大きく依存した。
特に、Ace-Kは雄マウスの体重増加を促進したが、雌マウスの体重増加は促進しなかった。
この結果は、人工甘味料と腸内細菌叢の相互作用、およびこの相互作用が肥満とそれに伴う慢性炎症の発症に果たす役割の可能性について、新たな理解をもたらすと考えられる。
この論文では、人工甘味料のアセスルファムカリウムをマウスに摂取させたところ、腸内細菌に変化が起こり、オスのマウスで顕著に体重が増加したと報告しています。
その差はなんと約2倍!(10.28g vs 5.44g)
※メスのマウスでは、目立った体重増加は見られませんでした。
実はコレ、前回の「人工甘味料が太る説3:腸内細菌が乱れて太る」でご紹介したものとなります。
人工甘味料は太るの?太らないの? こんにちは、おっちーです(^^) 糖質オフ!カロリーゼロ!!ダイエット食品に並ぶパワーワード。 これらの言葉を支えている[…]
このように、マウスによる研究では、人工甘味料は腸内細菌を変化させることで腸内環境を悪化させると述べられています。
人工甘味料が腸内環境を悪化させるとする人の研究
マウスによる研究では、人工甘味料が腸内環境を悪化させると一貫しておりました。
しかし、人による研究では結果にばらつきがあり、一貫性がありません。
下記の無作為化比較試験(ランダム化比較試験)では、人工甘味料のアスパルテームとスクラロースを摂取した結果、腸内細菌への影響は見られなかったと報告しています。
参考:非栄養性人工甘味料であるアスパルテームとスクラロースの健康成人における腸内細菌叢への影響。無作為化二重盲検クロスオーバー臨床試験の副次的成果(2020年11月)
非栄養性人工甘味料(NNSs)は、腸内細菌叢を変化させ、グルコース代謝を変化させる可能性がある。
本研究では、現実的な量のNNSsを用い、アスパルテームとスクラロースの摂取が腸内細菌叢の構成に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
18歳から45歳までの、肥満度(BMI)が20-25の健康な参加者17名を選んだ。
14日間の治療期間を2回行い、その後4週間の休止期間を設けた。
各参加者が摂取した甘味料は、アスパルテームの1日摂取許容量(ADI)の14%(0.425g)およびスクラロースのADIの20%(0.136g)を標準化した量であった。
治療前後に採取した糞便サンプルについて、マイクロバイオームと短鎖脂肪酸(SCFAs)の分析を行った。
両NSsの処理前後で、最も豊富な細菌分類群(科および属)の相対比率の中央値に差はなかった。
微生物相の群集構造にも明らかな差は認められなかった。
NNSs摂取後の糞便中SCFAsにも差はなかった。
これらの知見は、典型的な大量消費に相当する量の純粋なアスパルテームまたはスクラロースを毎日繰り返し摂取しても、腸内細菌叢の組成またはSCFA産生にほとんど影響を与えないことを示唆している。
一方、下記の無作為化比較試験(ランダム化比較試験)では、人工甘味料のサッカリンとスクラロース、アスパルテームがマイクロバイオーム(腸内細菌)を変化させたと報告しています。
参考:非栄養性甘味料がヒトの耐糖能に及ぼす微生物によるパーソナライズド効果(2022年9月)
人工甘味料は、一般的にヒトの食事に組み込まれており、不活性であると考えられている。
しかし、動物実験により、人工甘味料がマイクロバイオームおよび下流の耐糖能に影響を与える可能性が示唆されている。
我々は、120名の健康成人を対象とした無作為化対照試験において、サッカリン、スクラロース、アスパルテーム、ステビアの小袋を1日の許容摂取量より少ない量で2週間投与し、小袋入りのブドウ糖を投与する対照群と、何も投与しない対照群とで、ヒトとそのマイクロバイオームへの人工甘味料の影響を因果関係で評価した。
群として、各投与された人工甘味料は、便および口腔内のマイクロバイオームと血漿中のメタボロームを明確に変化させ、一方、サッカリンとスクラロースは耐糖能を有意に阻害した。
重要なことは、4つの人工甘味料添加群の上位および下位反応者のマイクロバイオームを用いてコンベンショナルに飼育したマウスは、それぞれのヒトドナーで認められた耐糖能をほぼ反映しており、スクラロースで例示されたように、異なる微生物シグナルによって先取りされたことであった。
まとめると、ヒトの人工甘味料摂取は、人特有の、微生物に依存した血糖値変化を誘発する可能性があり、臨床的意義について今後評価することが必要である。
この研究は、糖尿病のない男女131名を対象にしたものです。
事前に腸内細菌の状態を調べた上で、
- アスパルテーム
- スクラロース
- サッカリン
- ステビア(ステビアはキク科の多年草のため人工甘味料ではありません)
を朝・昼・晩に2回ずつ、2週間摂取してもらっています。
結果、アスパルテーム、スクラロース、サッカリン、ステビアは腸内細菌に変化を与えたとのことでした。
しかも、サッカリンとスクラロースに至っては、耐糖能(血糖値を正常値に戻す能力)も低下したようです。
人による試験では、腸内細菌に影響を与える・与えないの2つの結果にわかれています。
腸内細菌は、十人十色。
100人いれば100通りの腸内細菌(腸内フローラ)があります。
もしかしたら、人によって人工甘味料は腸内環境に悪影響を与えないのかもしれない。
ただし、マウスによる研究では人工甘味料が腸内環境に悪影響を与えることがわかっております。
マウスによる研究では黒、人による研究ではグレー。
人においても影響を与えているケースがあることから、人工甘味料は腸内環境に影響を与えないというのは無理があるでしょう。
やはり、人工甘味料は腸内環境を悪化させる可能性が高いと考えます。
ただし、人工甘味料が人の腸内環境に影響を与える研究をまとめたメタアナリシスは見当たりませんでした。
※メタアナリシスとは、いくつもの研究をひとまとめにして精査し結論を導くもので、その結果は非常に信頼性の高いものとなっています。
よって、結論は得られていません。
以上、人工甘味料が腸内環境を悪化させるかどうかについて見てきました。
ここでの結論は、
”人工甘味料は腸内環境を悪化させる可能性があるが確定ではない”
です。
腸内細菌(腸内フローラ)が変化し、腸内環境が悪化すると、
- 便秘や下痢などお腹の調子が悪くなる
- 免疫機能が低下し風邪をひきやすくなるなったり、アレルギーにつながる
- 慢性炎症を引き起こし、老化や「糖尿病、心筋梗塞・脳卒中、がん」などの生活習慣病につながる
- うつなどメンタルがやられる
- 太る
につながる可能性が高まります。
これらは-10歳の健康美にとって無視できないものです。
腸活ってなに?なぜ腸活が必要なの? こんにちは、おっちーです。(^^)最近、腸活って良く耳にしますよね♪ あ〜、う○この話でしょ?たしかに便秘はツライからね・・・。[…]
よって、できるだけ人工甘味料は避けたいものです。
まとめ
最後にもう一度内容を確認しましょう。
- 人工甘味料のアセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリンは大腸に届き、その静菌作用によって腸内細菌の発育・増殖を抑制するため腸内環境を悪化させる
- 人工甘味料のアスパルテームは、酵素によって「メタノール、アスパラギン酸(アミノ酸)、フェニルアラニン(アミノ酸)」に分解後、小腸で吸収されるため大腸に届かない。よって、腸内細菌に影響する可能性は極めて低い
- マウスによる試験では、人工甘味料は腸内環境を悪化させるとの報告が相次いでいる
- しかし、人による試験では人工甘味料が腸内環境を悪化させたりさせなかったりと一貫性がない
- 現状、人工甘味料が人の腸内環境に影響を与えるというメタアナリシスは見当たらず人工甘味料が腸内環境を悪化させると確定していない
- しかし、マウスでは一貫して人工甘味料が腸内環境を悪化させているため可能性は高い
いかがでしたでしょうか?
人工甘味料は腸内環境を悪化させる可能性は高いが確定ではない。
限りなく黒に近いグレー。
今回の記事で、人工甘味料は腸内環境を悪化させるのか?本当のところをご理解いただけたかと思います。
人工甘味料は、できるだけ避けたほうが無難でしょう。
今回のお話は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
それではまた♪