人工甘味料は腎臓に負担がかかるの?
こんにちは、おっちーです(^^)
前回に続き、人工甘味料のリスクについてのお話です。
人工甘味料は糖尿病のリスクがあるの? こんにちは、おっちーです(^^)前回に続き、人工甘味料のリスクについてのお話です。[sitecard subtitle=健康美学 url=https://otc[…]
人工甘味料は、
- ダイエット・コーラなどの炭酸飲料
- ココアやカフェオレの粉末飲料
- サワー系のお酒
- ノンシュガーチョコレート
- のど飴
- ガム
- ゼリー
- ヨーグルト
- プロテイン
など、さまざまな商品に使われています。
現状、人工甘味料の安全性は、厚生労働省、FDA(米国食品医薬品局)、EFSA(欧州食品安全機関)など、さまざまな国の公衆衛生機関によって担保されています。
しかし、人工甘味料は腎臓に負担がかかる疑いがかけられています。
この話は本当なのでしょうか?
腎臓に負担がかかると、慢性腎臓病(CKD)や末期腎不全になり、透析が必要となって最終的に狭心症や心筋梗塞など命に関わる病気につながってしまいます。
そこで、今回のテーマは人工甘味料は腎臓に負担をかけるのか?問題について考察していきたいと思います。
この「人工甘味料は糖尿病のリスクを上げるのか?問題」をハッキリさせるために、論文を6本熟読しました。
この記事では、
- 人工甘味料が腎臓に負担をかけるメカニズムについて
- 人工甘味料が本当に腎臓に負担をかけるのか実際の研究事例
について詳しく解説しています。
これを読めば、あなたは人工甘味料が腎臓に負担をかけるのか?本当のところがわかるでしょう。
それではいってみましょう(๑•̀ㅂ•́)و✧
人工甘味料が腎臓に負担をかける?
人工甘味料は腎臓に負担をかけてしまうのでしょうか?
結論は、
”人工甘味料は腎臓に負担をかける可能性が高い”
です。
人工甘味料は、慢性腎臓病や末期腎不全につながるリスクがあるので、できるだけ避けたほうが無難でしょう。
なぜなら、人工甘味料が腎臓に負担をかけるメカニズムがあるからです。
詳しく解説していきます。
人工甘味料が腎臓に負担をかけるメカニズムは酸化ストレス
人工甘味料が腎臓に負担をかけるメカニズムとして、酸化ストレスがあります。
酸化ストレスとは、酸化反応により引き起こされる有害な作用のことです。
活性酸素による酸化反応(錆び)が、細胞を傷つけたり死滅させることで老化が進むことが酸化ストレスです。
で、酸化ストレスは腎臓にダメージを与え慢性腎臓病(CKD)につながります。
参考:腎臓病が進行するしくみを解明(2016年10月東北大学)
参考:酸化ストレス処理機構と腎障害(2017年日本内科学会雑誌)
で、マウスによる研究で人工甘味料のアスパルテームが酸化ストレスを引き起こすことがわかっております。
参考:Wistar albinoラットのアスパルテームによる心筋酸化ストレスに対するL-カルニチンの保護作用について(2018年11月)
【背景】
アスパルテームは、ショ糖の代替品として、世界中の糖尿病患者や肥満患者に使用されている。
カルニチンとアスパルテームの併用は、アスパルテームによる肝臓および腎臓の毒性に対して保護効果を有する。
【目的】
本研究の目的は、アスパルテームによる心毒性に対するカルニチン効果の増強について評価することであった。
【方法】
ラットを生理食塩水によるコントロール、カルニチン(10 mg/kg)、アスパルテーム(75 mg/kg)、アスパルテーム(150 mg/kg)、アスパルテーム(75 mg/kg)を含むカルニチン、およびアスパルテーム(150 mg/kg)を含むカルニチンの6群に分けた。
【結果】
アスパルテームは、過酸化脂質レベル、マロンジアルデヒドを増加させた。
また、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオンなどの抗酸化酵素の活性を有意に低下させた。
※過酸化脂質レベルとマロンジアルデヒドが増加することは酸化ストレスレベルが上昇するということです。
カルニチンを併用して投与することにより、アスパルテームによる酸化ストレスによるダメージは緩和された。
【結論】
アスパルテームは活性酸素の生成を誘導し、心筋組織の酸化ストレスや構造変化を引き起こし、心機能を低下させる可能性があることが明らかになった。
また。カルニチンの使用により、心臓を生物学的および構造的損傷から保護することができる。
この研究で注目したいところが、アスパルテームが過酸化脂質レベルを上げ、抗酸化酵素の活性化を有意に低下させるということ。
これが何を意味しているかと言うと、
- 過酸化脂質レベルの増加は、酸化によるダメージが上昇している
- 抗酸化酵素の活性化の低下は、活性酸素の除去能力が低下している
ということです。
活性酸素は酸化ストレスをあげる要因。
そして、過酸化脂質レベルの上昇=酸化によるダメージの上昇。
つまり、アスパルテームを摂取すると活性酸素を除去する能力が低下し、酸化によるダメージが増加→酸化ストレスが上がるということです。
で、アスパルテームが酸化ストレスを上げる理由として研究者は、
この変化は、アスパルテーム代謝中のメタノール生成とメタノール代謝の一部としてのホルムアルデヒドの放出に起因すると考えられる。
と述べています。
アスパルテームが消化されると、アスパラギン酸(50%)、フェニルアラニン(40%)、メタノール(10%)の割合で代謝されます。
※アスパラギン酸とフェニルアラニンはいずれもアミノ酸(たんぱく質の部品)です。
酸化ストレスにつながるのがメタノール。
そして、メタノールは最終的にホルムアルデヒドに代謝されます。
ホルムアルデヒドとは、シックハウス症候群の原因となる化学物質で炎症を引き起こす有害な物質です。
このホルムアルデヒドが、酸化ストレスを上げることになる。
よって、人工甘味料のアスパルテームは酸化ストレスを上げ腎臓にダメージを与えるということです。
参考:人工甘味料としてのアスパルテームの腎毒性:総説(2017年10月)
人工甘味料はホントに腎臓に負担がかかるの?実際の研究事例
マウスによる研究で、人工甘味料のアスパルテームが酸化ストレスによって腎臓にダメージを与えることがわかりました。
しかし、これはあくまでマウスの研究。
人ではありません。
では、実際に人による研究ではどのような結果になっているのでしょうか?
下記のメタアナリシスでは、人工甘味料入り飲料の消費が多い場合、少ない場合と比べて1.4倍の慢性腎臓病(CKD)のリスクがあると報告しています。
※メタアナリシスとは、いくつもの研究をひとまとめにして精査し結論を導くもので、その結果は非常に信頼性の高いものとなっています。
参考:砂糖および人工甘味料入り飲料と慢性腎臓病のリスク:系統的レビューおよび用量反応メタ解析(2021年12月)
【背景】
砂糖や人工甘味料入り飲料(SASB)の摂取は、アルブミン尿、腎機能の低下、慢性腎臓病(CKD)のリスクと関連があるとされている。
しかし、その結果には賛否両論がある。
そこで我々は、砂糖または人工甘味料入り飲料の摂取が慢性腎臓病(CKD)リスクに及ぼす影響を評価することを目的とする。
【結果】
砂糖入り飲料の消費が多い場合と少ない場合は、合計25,455人の参加者を含む6件の研究が対象となり、慢性腎臓病(CKD)のリスク比(RR)は、1.30(95%CI 0.88-1.94)であった。
一方、人工甘味料入り飲料の消費が多い場合と少ない場合は、合計19,995人を含む3件の研究が対象となり、慢性腎臓病(CKD)のリスク比(RR)は、1.40(95%CI 0.65-3.02)であった。
用量反応分析では、砂糖または人工甘味料入り飲料の摂取量が週7食を超えると、慢性腎臓病(CKD)の有意なリスク上昇が観察された(P < 0.001)。
【結論】
本研究では、統計的有意性には至らなかったが、砂糖または人工甘味料入り飲料の摂取と慢性腎臓病(CKD)の間に正の関連があることが分かった。
用量反応結果は、週7食以上は避けるべきであると示唆した。
人工甘味料入の飲料を週に7食以上摂取すると、慢性腎臓病(CKD)のリスクが上昇することが判明しました。
そして、下記のコホート研究では、ダイエットソーダを多く飲めば飲むほど末期腎不全のリスクが高まると報告しています。
参考:ダイエットソーダの摂取と末期腎不全の発症リスク(2017年1月)
ダイエットソーダ1杯/週未満と比較して、1-4杯/週、5-7杯/週、および>7杯/週の消費は、それぞれ1.08倍、1.33倍、1.83倍と末期腎不全のリスクと関連があった。
ちょっと読みにくいので整理すると、人工甘味料入りのダイエットソーダを
- 週に1〜4杯飲む:1.08倍の末期腎不全のリスク
- 週に5〜7杯飲む:1.33倍の末期腎不全のリスク
- 週に7杯以上飲む:1.83倍の末期腎不全のリスク
になるということです。
※ダイエットソーダは、ダイエット・コーク、ダイエット・ペプシ、ダイエット・セブンアップを使用しています。これらは人工甘味料のアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースが含まれています。
これらを見ると、どうやら人工甘味料は腎臓に負担をかけるようです。
ただし、これらの研究に含まれているのは、コホート研究でランダム化比較試験ではありません。
コホート研究とは、原因となる要素を持つ集団と持たない集団に分けて未来に向けて長期間(例:10年)追跡して結果がどうなるかを観察する研究のことです。
コホート研究は介入することなく、観察の結果をまとめたものだからデータの質に限界がある。
一方、ランダム化比較試験は観察ではなく、介入する試験のことでデータの質はとても高いです。
しかし、病気につながるものを介入するというのは人体実験そのもののため、倫理的にアウト。
なにが言いたいかというと、今後の研究では結果が覆る可能性がある。
つまり、メタアナリシスではあるものの人工甘味料が慢性腎臓病になると言い切ることはできないということです。
以上、「人工甘味料は腎臓に負担をかけるのか?問題」について考察してきました。
まとめると、
”人工甘味料は腎臓に負担をかける可能性が高い”
です。
人工甘味料は、慢性腎臓病や末期腎不全につながるリスクがあるのでできるだけ避けたほうが無難でしょう。
まとめ
最後にもう一度内容を確認しましょう。
- 酸化ストレスは腎臓にダメージを与え慢性腎臓病(CKD)につながる
- 人工甘味料のアスパルテームは酸化ストレスを引き起こし腎臓にダメージを与える可能性あり
- 人工甘味料入り飲料の消費が多い場合、少ない場合と比べて1.4倍の慢性腎臓病(CKD)のリスクとなる
- ダイエットソーダ(人工甘味料入り)を週に7杯以上飲むと1.83倍の末期腎不全のリスクとなる
- しかし、これらの研究はコホート研究であり、厳格なランダム化比較試験ではないためデータの信憑性はそこまで高くない
- よって、今後の研究により覆る可能性はある
- それでも、人工甘味料のアスパルテームは酸化ストレスを引き起こす可能性があるため腎臓へのダメージに気をつけたほうがよい
いかがでしたでしょうか?
人工甘味料は、腎臓病のリスクがあると理解しておいたほうがよいかと思います。
今回の記事で、人工甘味料が腎臓に負担をかけるのか?本当のところをご理解いただけたかと思います。
今回のお話は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
それではまた♪