人工甘味料が脳を勘違いさせる?
それがカラダにどんな影響を与えるの?
こんにちは、おっちーです(^^)
前回に続き、人工甘味料のリスクについてのお話です。
人工甘味料は腎臓に負担がかかるの? こんにちは、おっちーです(^^)前回に続き、人工甘味料のリスクについてのお話です。[sitecard subtitle=健康美学 url=https://otch[…]
人工甘味料は、
- ダイエット・コーラなどの炭酸飲料
- ココアやカフェオレの粉末飲料
- サワー系のお酒
- ノンシュガーチョコレート
- のど飴
- ガム
- ゼリー
- ヨーグルト
- プロテイン
など、さまざまな商品に使われています。
※代表的な人工甘味料としてアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリンがあげられます。
現状、人工甘味料の安全性は、厚生労働省、FDA(米国食品医薬品局)、EFSA(欧州食品安全機関)など、さまざまな国の公衆衛生機関によって担保されています。
しかし、人工甘味料は脳を勘違いさせると言われています。
脳を勘違いさせる?
ちょっと、意味がよくわからないですよね。
それは、具体的にカラダにどんな影響を与えるのでしょうか?
そこで、今回のテーマは人工甘味料は脳を勘違いさせる?問題について考察したいと思います。
この「人工甘味料は脳を勘違いさせる?問題」をハッキリさせるために、論文を8本熟読しました。
この記事では、
- 人工甘味料が脳を勘違いさせるとカラダにどんな影響があるのか?
について詳しく解説しています。
これを読めば、あなたは人工甘味料が脳を勘違いさせる意味が理解できるようになるでしょう。
それではいってみましょう!(๑•̀ㅂ•́)و✧
人工甘味料が脳を勘違いさせる意味とは?
結論から入ります。
人工甘味料が脳を勘違いさせるとは、
”喜びが得られると思いきや得られないという勘違い”
のことです。
その結果、
”甘いものへの欲が高まり過食に走って太る”
といったことになります。
人工甘味料の偽の甘さは、脳に「嬉しい!」の喜び(報酬)が得られるものと勘違いさせます。
さらに人工甘味料は、
- 甘いものを見逃さずゲットする能力がアップする
- 甘いものから喜び(報酬)が得られず渇望感が増す
と、より甘いものを欲する体質に変えるかもしれません。
結果、甘いものへの欲が高まり食べすぎて太る可能性があります。
詳しく解説します。
人工甘味料が脳を勘違いさせる?食欲に影響する脳の報酬系
まずは脳の報酬系についておさえていただければと思います。
「報酬系」ってなんだか固い言葉で難しく感じますよね。
でも、わかってしまえばそれほど難しいことではありません。
あ〜!これを食べたら太ってしまう!!でも、とめられない!!これ以上食べると太るのに!!もうお腹いっぱい、でもとまらない、やめられない!!なんで?わたしの食欲はとまってくれないの!? […]
報酬系とはざっくり言うと、
- おいしいものを食べると脳からドーパミンが分泌される
- ドーパミンは「嬉しい!、気持ちいい!、素晴らしい!、よしやるぞ!」といったポジティブな感情を呼び起こす快楽ホルモン
- ドーパミンが分泌されると喜び(報酬)が得られる
といった脳の働きのことです。
人や動物は、生きることや種の保存につながるものに喜びを得られる仕組みが脳に備わっています。
この生き残るために喜び(報酬)が得られるシステムのことを「報酬系」と呼びます。
※ちなみに、おいしいものとは「甘い食べ物、脂っこい食べ物、味の濃い食べ物」のことです。参考:食欲のコントロールができない!脳を整えて適切な食欲にする方法
通常、食欲が増すのはエネルギーを得るため。
こんにちは、おっちーです^^今回も必ずやせて-10歳の健康美を手に入れるための「ダイエットの基礎知識」を学んでいきます。 前回は「飽食の時代」というテーマで、日本食から欧米食に変化したことにより、わたしたち[…]
しかし、この報酬系はエネルギーを得るためではなく、喜びという報酬を得たいがために食欲が増すというもの。
※行き過ぎると依存症や中毒になります。ちなみに麻薬による中毒も脳の報酬系の異常によるものです。
つまり、
- エネルギーを得るための食欲(恒常性食欲)
- 喜びを得るための食欲(報酬系食欲)
という2種類の食欲が存在しています。
で、ここでのお話は後者の報酬系の食欲についてです。
砂糖などの自然な甘味料であれば、口に入れた瞬間に「甘いものがきた!」となり、次に「嬉しい!」と喜び(報酬)が得られます。
これにより報酬系の食欲が満たされます。
しかし、人工甘味料は喜び(報酬)を得ることができません。
口に入れた瞬間、「甘いものがきた!」となるのは砂糖と同じなのですが、待てど暮らせど「嬉しい!」の喜び(報酬)がやってこない。
人工甘味料の偽の甘さは、脳に「嬉しい!」の喜び(報酬)が得られるものと勘違いさせてしまいます。
つまり、人工甘味料は、喜び(報酬)が得られると思いきや得られないという脳に勘違いを起こさせるということです。
結果、報酬系の食欲が満たされず、どんどん甘いものへの欲が高まり食べすぎてしまうといったことになります。
甘いものへの欲が高まり食べすぎて太る説
では、具体的にどうやって人工甘味料が甘いものへの欲を高めてしまうのでしょうか?
ポイントは、
- 甘いものを見逃さずゲットする能力がアップする
- 喜び(報酬)が得られず渇望感が増す
の2つです。
これらが、甘いものへの欲が高まり食べすぎて太るといったことにつながります。
詳しく見ていきましょう。
甘いものを見逃さずゲットする能力がアップする
人工甘味料は、甘いものを見逃さずゲットする能力がアップする可能性があります。
これをもう少し、噛み砕くと。
”人工甘味料は、甘いものを察知する能力とそれを得るための意欲と行動力がアップする可能性がある”
ということです。
甘いものを察知する能力と、甘いものを得るための意欲と行動力。
これを「甘いものを見逃さずゲットする能力」と表現しています。
下記の研究では、女性が人工甘味料のスクラロースを摂取すると、砂糖に比べて脳の内側前頭皮質(うちがわぜんとうひしつ)と眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)が大きく反応したと報告しています。
参考:食欲および報酬処理に対するスクラロースとスクロースの効果の違いによる肥満と性差の関連性。無作為化クロスオーバー試験(2021年9月)
【重要性】
人工甘味料は、栄養価の高い甘味料の代替として、摂取カロリーを抑えながら甘いものへの欲求を鎮めるために使用されている。
しかし、食欲に対する人工甘味料の効果については様々な結果が示されており、栄養価の高い砂糖と比較した人工甘味料に対する報酬および食欲反応と性別や肥満の関連は不明である。
【目的】
健康な若年成人を対象に、スクラロース(人工甘味料) vs スクロース(砂糖の主成分)摂取後の、異なる種類の高カロリー食品合図(すなわち、甘味と塩味)に対する神経反応性、代謝反応、および食行動について検討すること。
【介入】
参加者は、スクロース、スクラロース、または水のいずれかを含む300mLの飲料を摂取した。
【結果】
上記の介入を無作為(ランダム化)に合計74名の成人(女性43名、男性31名、平均年齢23.4歳、BMI範囲19.18〜40.27)が研究を完了した。
・肥満の人は、スクロース(砂糖の主成分)とスクラロース(人工甘味料)摂取後の内側前頭皮質(MFC)と眼窩前頭皮質(OFC)の大きな反応が観察された。
・スクラロース(人工甘味料)を摂取した女性参加者は、食物の合図に対する内側前頭皮質(MFC)と眼窩前頭皮質(OFC)の反応がスクロース(砂糖の主成分)と比較して大きかった。
・男性参加者では反応に差がなかった。
・スクラロース(人工甘味料)を摂取した女性参加者はより多くのカロリーを摂取した。
【結論】
これらの知見は、特に肥満の女性がスクラロース(人工甘味料)を摂取すると、内側前頭皮質(MFC)と眼窩前頭皮質(OFC)の反応が高くなる可能性を示唆するものである。
内側前頭皮質(MFC)と眼窩前頭皮質(OFC)とは、
- 内側前頭皮質(うちがわぜんとうひしつ):高度な知覚・認知・情動機能を担う脳の領域。情動や社会性、意欲の制御に深く関与していると考えられている。参考
- 眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ):意思決定に重要な役割を果たす。報酬と罰など価値の判断を行い、最適な行動の選択をする脳の領域。参考
といった、情動や意欲、価値の判断や行動の選択を行っている脳の領域のことです。
女性が人工甘味料のスクラロースを摂取すると、砂糖に比べて上記の脳領域が大きく反応するとのこと。
ここでの文脈で、内側前頭皮質(MFC)の活性化とは、甘いものを察知する能力とそれを得るための意欲がアップするということになります。
また、眼窩前頭皮質(OFC)が活性化するということは、報酬(喜び)に敏感になり、価値を得るためのよりよい選択・行動をするということです。
つまり、女性が人工甘味料を摂取すると、
”甘いものを察知する能力とそれを得るための意欲と行動力が高まる”
ということになります。
これを一言で表すと、人工甘味料は、甘いものを見逃さずゲットする能力がアップするということです。
※男性はレベルアップしません。肥満の人は男性でもレベルアップします。特に肥満の女性はレベルアップが顕著だとか。
結果、人工甘味料のスクラロースを摂取した女性の参加者はより多くのカロリーを摂取したようです。
喜び(報酬)が得られず渇望感が増す
人工甘味料が、甘いものを見逃さずゲットする能力をアップさせることがわかりました。
しかし、残念ながら人工甘味料は甘いにも関わらず喜び(報酬)が得られません。
よって、「喜び(報酬)=甘いもの」への渇望感が増します。
下記の研究では、人工甘味料は、島皮質(とうひしつ)を活性化させず、腹外側前頭前野(ふくがいそくぜんとうぜんや)を活性化させると報告しています。
参考:カロリー甘味料とノンカロリー甘味料が食物摂取量と食物に対する脳反応に与える影響。健康なヒトを対象とした無作為クロスオーバー対照試験(2018年5月)
人工甘味料の摂取がヒトの食物摂取行動に影響を与えるかどうかは、まだ不明である。
感覚信号と代謝信号の不一致は、脳の調節中枢を惑わせ、体重増加を好む不適応な食物選択を促進することが提唱されている。
我々は、スクロース(砂糖の主成分)入り飲料と人工甘味料入り飲料の摂取によって、食品を見るときの脳の反応と食品摂取量が異なるかどうかを評価することを目的とした。
18人の正常体重の男性に、絶食状態と、標準化された食事に人工甘味料またはスクロース入り飲料、あるいは水のいずれかを摂取させた後、調査を実施した。
水とスクロースとは対照的に、人工甘味料の摂取は「島皮質」の活動に影響を与えず、報酬の抑制に関連する「腹外側前頭前野」の神経活動の上昇を導いた。
この結果は、カロリー甘味料とノンカロリー甘味料が、その後の視覚的食物合図に対する脳反応とエネルギー摂取に与える影響の差を明らかにするものである。
これらの変化は、味覚とカロリーの非カップリングに対する適応の初期段階を反映していると考えられ、人工甘味料の反復摂取が食物摂取行動に及ぼすより長期的な影響を示唆している可能性がある。
島皮質と腹外側前頭前野とは、
- 島皮質(とうひしつ):味覚、嗅覚、聴覚、触覚(肌触り)などの感覚から得られる感情(喜び、驚き、怒り、恐怖、悲しみ)を呼び起こす脳の領域。参考
- 腹外側前頭前野(ふくがいそくぜんとうぜんやVLPFC):知覚された刺激が安全なのか脅威なのか、それとも報酬なのかを認知し判断する脳の領域。湧き上がる感情をおさえる方向に働く。参考
といった、感覚を得てそこから「罰なのか報酬なのか」を判断する高次の脳の領域のことです。
砂糖など自然な甘味料から甘みを得ると、島皮質が活性化し喜びが沸き起こります。
しかし、人工甘味料は島皮質を活性化させず、喜びが沸き起こりません。
さらに、腹外側前頭前野が活性化するので喜びが沸き起こったとしてもブレーキをかけられてしまう。
つまり、人工甘味料からの甘みでは、喜び(報酬)を得ることができないということです。
よって、喜びを得るための食欲(報酬系食欲)は満たされることはありません。
報酬が得られないから、より求めるようになってしまう。
まとめると、人工甘味料では喜び(報酬)が得られず渇望感が増すということです。
そして、人工甘味料を長期にわたり摂取し続けると、甘いものから喜び(報酬)を得ないということを学習してしまう可能性がある。
ひょっとすると、砂糖からでも喜び(報酬)が得られなくなる可能性もありえます。
参考:”ダイエット “で太る?人工甘味料と砂糖欲求の神経生物学。ニューロサイエンス 2010(2010年6月)
カロリー含有量から切り離された甘味(人工甘味料)は、食物報酬経路の完全な活性化ではなく、部分的な活性化をもたらす。
完全な満足が得られないと、おそらく投稿的要素が活性化されないために、さらに食物を求める行動が加速される。
報酬反応の減退は肥満の原因となる。
人工甘味料は、まさに甘いという理由で、砂糖への渇望と砂糖依存を助長する。
繰り返しの暴露は、味の嗜好性を訓練する [54] 。
結果、過食に走り太る可能性があります。
以上、「人工甘味料は脳を勘違いさせる?問題」について考察してきました。
人工甘味料が脳を勘違いさせるとは、
”喜びが得られると思いきや得られないという勘違い”
のことです。
その結果、
”甘いものへの欲が高まり過食に走って太る”
といったことになります。
まとめ
最後にもう一度内容を確認しましょう。
- 人工甘味料は喜びが得られると思いきや得られないという勘違いを脳に起こさせる
- 食欲には「エネルギーを得るための食欲(恒常性食欲)」と「喜びを得るための食欲(報酬系食欲)」の2種類がある
- 砂糖などの自然な甘みは報酬系食欲を満たすが、人工甘味料は報酬系食欲を満たさない
- 人工甘味料は甘いものを見逃さずゲットする能力がアップする
- 人工甘味料は喜びが得られず渇望感が増す
- その結果、甘いものへの欲が高まり過食に走って太る
いかがでしたでしょうか?
人工甘味料は脳を勘違いさせて、甘いものへの欲が高まり過食に走らせて太る可能性があります。
今回の記事で、人工甘味料が脳を勘違いさせる意味が理解できるようになっていただけたかと思います。
今回のお話は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
それではまた♪