【インスリンと脂肪の関係】インスリンは本当に太るホルモン?

インスリンって本当に太るの?

 

こんにちは、おっちーです。

 

インスリンは、ダイエット界隈では太るホルモンと言われています。

※特に糖質制限ダイエットではこのインスリンが太る原因として扱われています。

 

確かにインスリンは脂肪を合成するホルモンではあるのですが・・・。

 

うーん、どうなのでしょう?

インスリンは本当に太るホルモンなのか?

 

今回は、この問題について掘り下げます。

そして、インスリンは本当に太るホルモンなのか突き止めたいと思います!💪

 

インスリンのことを詳しく知ることで、インスリンが太るのかどうかわかります。

そして、研究データを見ることでインスリンが太るかどうかハッキリするでしょう。

 

この記事を読み終えれば、

インスリンは太るホルモンなのか本当のところ

がわかると思います。

 

それでは詳しく見ていきしょう!

インスリンとは?脂肪との関係は?

早速ですが結論です。

 

インスリンは太るホルモンではありません。

 

えっ!?そうなの(@_@;)

 

はい。そうなんです。

 

インスリンは太るホルモンではありません。

たしかにインスリンは脂肪を合成するホルモンですが、それだけで太ると決めつけるのは少し早いようです。

 

理由を述べる前に、まずはインスリンの基本についておさえていきましょう。

 

インスリンは血糖値を下げるホルモンです。

 

人は食事でご飯など糖質を摂ると、血液中の糖が上昇します。

すると、膵臓のランゲルハンス島というところからインスリンが分泌されます。

 

そして、筋肉、肝臓、脂肪細胞などにあるインスリン受容体にインスリンが結合すると、血液中の糖が細胞に取り込まれます。

糖が細胞に取り込まれた結果、血液中の糖の濃度が下がります。(血糖値が下がる)

 

そして、細胞に取り込まれた糖はエネルギー源として使用され、わたしたちの活動を支えています。

※そのほか「脳、腎臓、肌」などにもインスリン受容体があります。また、ここでいう糖とはブドウ糖(グルコース)のことです。

 

で、血液中に余った糖はインスリンによってグリコーゲンに合成され肝臓に蓄えられます。

※グリコーゲンとは筋肉においてグルコース(ブドウ糖)よりも素早くエネルギーに変換される糖質のことです。肝臓においてはグルコース(ブドウ糖)の原料となります。

 

さらに余った糖は、インスリンによって脂肪(中性脂肪)に合成され脂肪細胞に蓄えられます。

また、インスリンは脂肪が分解されるのを防ぐ働きがあるとも言われています。

 

これが、インスリンが太る原因と言われるところです。

 

と、同時にインスリンは筋肉に作用してアミノ酸の細胞内への取込を増加させて、タンパク質の合成を促進させます。

そして、タンパク質の分解も防ぎます。

 

※この動画はインスリンについてよく理解できるのでオススメ♪

 

以上、インスリンの働きをまとめると、

  • 細胞に糖を取り込むことで血糖値を下げる
  • 余った糖をグリコーゲンに合成し肝臓で蓄える
  • さらに余った糖を脂肪(中性脂肪)に合成し脂肪細胞で蓄える
  • 脂肪が分解されるのを防ぐ
  • 筋肉でタンパク質を作る
  • タンパク質が分解されるのを防ぐ

といったところになります。

※脂肪細胞とは、白色脂肪細胞のことです。

 

インスリンは脂肪を合成するし、脂肪が分解されるのを防ぐ。

この働きをみれば、インスリンは太るホルモンと思われても仕方がないことだと思います。

※実際、僕もインスリンは太るホルモンだと思っていました。

 

しかし・・・。

インスリンは本当に太るホルモンなのか?

インスリンは太るホルモンではありません。

 

インスリンについて詳しく見ていくと太るホルモンでないことがわかりました。

下記にその理由を見ていきます。

インスリンは筋肉でタンパク質を作る

まず1つ目は、インスリンは筋肉でタンパク質を作ることです。

先ほど申し上げたのですが、インスリンは筋肉に作用し、アミノ酸の細胞への取込を増加させます。

 

アミノ酸は、多数つながることでタンパク質を作ります。

そして、筋肉というものは主にタンパク質で構成されています。

つまり、インスリンの働きによって筋肉が増えるということです。

 

下記の「食と健康プロジェクト」と昭和女子大学生活科学部の研究でもインスリンが筋力増強を促すと結論づけています。

砂糖の筋肉増強作用について(2016年10月)

ブドウ糖、ショ糖の接種後にアミノ酸の濃度が低下しており、それは必須アミノ酸である分岐鎖アミノ酸(BCAA)において顕著であることを示している。

これらの結果は、ブドウ糖、ショ糖の接種後にインスリンの増加によりアミノ酸、特に必須アミノ酸が血液から他の組織、おそらく筋肉に取り込まれたこと示していると思われる。

砂糖の摂取により増加したインスリンの働きによって、より多くアミノ酸が筋肉に取り込まれ、筋肉を構成するタンパク質の合成が促される結果、筋力増強をもたらすものである。

 

筋肉は、基礎代謝を上げる最も重要な要素です。

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基礎代謝が高ければエネルギー消費量が多くなり、やせやすくなります。

インスリンは太るのではなく、むしろやせるホルモンなのではないでしょうか。

インスリンは食欲をおさえてくれる

そして、インスリンは食欲をおさえてくれます。

 

インスリンが食欲をおさえてくれる文献として下記を参考にしました。

インスリンとレプチンの再検討:生理学的および細胞内シグナル伝達能力が重複する脂肪シグナル(2003年1月)

現在までのところ、脂肪シグナルとして提案されている基準を満たすのは、インスリンとレプチンの2つの分子だけである。

これらの分子には、体脂肪蓄積量に比例した血漿中への分泌、血流から脳への輸送、エネルギー恒常性を制御する脳領域でのシグナル伝達分子の発現、中枢投与による食物摂取量減少の能力が含まれる。

また、いずれかのホルモンによる神経細胞シグナル伝達が低下すると、過食や肥満が生じる。

インスリンによって生成される神経細胞シグナルは、レプチンによって活性化されるシグナルと重複している可能性があり、このことが両者の中枢作用における多くの類似性を説明できるかもしれないという文献が増えてきている。

 

こちらの文献では、インスリンがレプチンと同様の働きをしている可能性を指摘しています。

レプチンは、脳の視床下部の摂食中枢に働きかけて満腹感を与えるホルモンです。

 

レプチンについては、下記の記事をご参考ください。

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こんにちは、おっちーです^^今回も必ずやせて-10歳の健康美を手に入れるための「ダイエットの基礎知識」を学んでいきます。 前回は「肥満体質の原因」について学びました。[sitecard subtit[…]

 

インスリンもレプチンと同様に満腹感を与えるように働きかけているようです。

 

こちらの文献でもインスリンは満腹感を与える可能性を指摘しています。

※ちなみに肥満の人はインスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなっている)により、食欲が止まらなくなっていると指摘している。

正常体重者と過体重者における食後のインスリンおよび血糖反応、食欲感覚、エネルギー摂取量との関連:試験食研究のメタアナリシス(2007年7月)

本研究の目的は、正常体重者と過体重者の短期的な食欲感覚とエネルギー摂取量(EI)における血糖値とインスリンの役割について、メタ解析を用いて検討することであった。

我々の結果は、健康な参加者ではグルコースではなくインスリンが短期的な食欲調節と関連しているが、過体重および肥満ではその関係が崩れていることを示唆している。

食後のインスリン反応は重要な満腹信号である可能性があり、過体重における中枢神経系のインスリン抵抗性が食欲に対する効果の鈍化を説明する可能性があると結論づけた。

 

しかも「メタアナリシス」という、いくつもの研究結果をひとまとめにして結論を導くものであることから、その信頼性はとても高くなっています。

 

続いてコレ。

脳におけるインスリン作用が全身の代謝と脳機能を調節する(2014年7月)

脳におけるインスリンシグナルの効果で最もよく研究されているのは、食物摂取とエネルギー消費に関する効果である。

早くも1979年にWoodsら(35)はヒヒにインスリンを脳室内注入すると摂食量と体重増加が著しく減少することを示した。

ネズミの第三脳室へのインスリン投与は、オレキシジェニック神経ペプチドであるニューロペプチド Y (NPY) とアグーチ関連ペプチド (AgRP) の発現を減少させることにより摂食量を減少させることが示されている。

 

こちらの文献では、マウスやヒヒの脳に直接インスリンを注入すると摂食量と体重が減少したとあります。

 

このように、インスリンが食欲をおさえるという論文はいくつも出てきます。

よって、インスリンは食欲をおさえると考えて良いのではないでしょうか。

インスリンが少なくても体脂肪は減らない、むしろ増える

で、決定的だったのが下記の2つ。

 

これらの研究を見て、インスリンは太るホルモンでないと確信しました。

非糖尿病女性における体脂肪、体重および腹部脂肪の増加の予測因子としてのインスリン抵抗性:前方視的研究(2012年7月)

目的は、インスリン抵抗性(IR)と18ヶ月間の体脂肪率(BF%)、体重、腹部脂肪の増加リスクとの関係を明らかにすることであった。

※インスリン抵抗性とはインスリンの効きが悪くなっていること。インスリン抵抗性が高ければよりインスリンが必要になるため、体内のインスリンの割合は高まる。

平均して、高HOMA群(空腹時のインスリン量が多い)の女性はBF%(体脂肪率)が減少した(-0.48±3.60)のに対し、中HOMA(空腹時のインスリン量が中くらい)(0.40±3.66)および低HOMA(空腹時のインスリン量が少ない)(1.17±3.15)群の女性はBF%(体脂肪率)が増加した(F = 5.4, P = 0.0211)。

結論として、HOMA(空腹時のインスリン量が多い)が高い女性は、HOMAが低いまたは中程度の女性に比べて、BF%および体重の増加が有意に少ない傾向がある。

※HOMAとは、インスリン抵抗性の指標で「空腹時インスリン値 × 空腹時血糖値 ÷ 405」で求められる。この値が大きいほどインスリン抵抗性が高く、空腹時のインスリン量が多くなる。日本人では1.6以下が正常で2.5以上の場合は、インスリンに対する抵抗性があると考える。

 

この研究では、空腹時のインスリン量が多い女性は体脂肪率が低く体重も少ない傾向にあると結論づけています。

さらに、空腹時のインスリン量が少ない女性の方が体脂肪率が増加したようです。

 

ということは、インスリンが少ないと太り、多いとやせるということです。

糖質制限ダイエットのインスリンの話とまるで正反対の結果になってます。

 

そして、コレ。

等カロリーの超低炭水化物/高飽和脂肪食と高炭水化物/低飽和脂肪食の身体組成および心血管リスクに関する比較検討(2006年1月)

48±8歳、総コレステロール5.9±1.0mmol/L、BMI33±3kg/m2の被験者83名を、3種類の等カロリー食(6MJ)のいずれかに8週間、および同じ食事に4週間ランダムに割り付け、エネルギーバランスに配慮した。

超低脂肪食(VLF)(CHO:脂肪:タンパク質、%SF=70:10:20、3%)、高不飽和脂肪食(HUF)=(50:30:20、6%)、高飽和脂肪超低炭水化物食(VLCARB)(4:61:35、20%)。
※簡単に言うと、VLFが低脂肪ダイエット、HUFが高脂肪ダイエット、VLCARBが糖質制限ダイエットです。

VLCARBは空腹時インスリンを33%低下させたが、HUFでは19%低下し、VLFでは変化がなかった(P < 0.001)。
また、VLCARBはVLFおよびHUFに比べ、食後のグルコースおよびインスリン応答を有意に低下させた。

しかし、脂肪量減少率は「VLF:低脂肪ダイエット、HUF:高脂肪ダイエット、VLCARB:糖質制限ダイエット」で差がなかった。

 

糖質制限ダイエットでは、インスリン量が「低脂肪ダイエット、高脂肪ダイエット」と比べて少なくなったのにも関わらず、

いずれも体脂肪率の減少は差がでなかった

とのこと。

 

このことからもインスリンは太る原因ではないということがわかります。

つまり、三大栄養素のバランスではなく摂取エネルギーが消費エネルギーを下回ればやせるということですね。

 

やはり基本は、

「摂取エネルギー<消費エネルギー=やせる」

になるのではないかと思います。

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以上、インスリンは太るホルモンなのかどうかについて見ていきました。

 

様々な文献と研究データから、

インスリンは太るホルモンではない。

と言ってよろしいのではないでしょうか。

まとめ

最後にもう一度内容を確認しましょう。

  • インスリンは太るホルモンなのか?
  • インスリンは太るホルモンではない
  • インスリンは血糖値を下げるホルモン
  • たしかにインスリンは脂肪を合成するが、筋肉を作るタンパク質も作る
  • さらに、インスリンは食欲をおさえる
  • そして、インスリンが少なくても体脂肪は減らない、むしろ増える
  • 低脂肪ダイエットでも、高脂肪ダイエットでも、糖質制限ダイエットでも同じようにやせる
  • これらのことからインスリンは太るホルモンではない

 

以上により、

インスリンは本当に太るホルモンなのか本当のところ

がご理解いただけたかと思います。

 

今回のお話はここまでです。

ここまでお読みいただきありがとうがざいました。

それではまた♪

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